ディスクが標準では中国語に設定されているのに
驚きます。まあ安値だから仕方がないのかもしれませんが…
映像は可もなく不可もなくといったところですね。
チベットの複雑な歴史を思うとナレーションのコメントには
ちょっと複雑な思いを感じますが
独特の雰囲気が面白い作品。浮世ばなれした父親と息子にまつわる物語である。この浮世離れの具合が意地悪く言えばどことなく現実感ぎりぎりを感じさせもする。しかし、彼等二人の生き方が心根にある潔癖さ所以であることに気づけば、物語がまったくの虚構であると突き放してしまえる人は少ないだろう。都会から田舎へ、普通の服装からジャージへ、食事は毎日トマト漬けといった極端な世界に抗うことなく二人が生きる緩いペースが、がむしゃらに走ってきた現代人の心の隙間に沁みる。親子を演じた鮎川誠氏と堺雅人氏がうまくはまっていて、茫洋とした生き様をうかがわせる、会話の「間」もいい。天然という言葉がマイナスのイメージをもって捉えられる現代、あえて人誰しもが持つ天然さ、いわば人としての懐の広さに光をあて、その大切さを静かに訴えかけてくる。もっと言えばその心ばえをして彼等のような時間を自分も生きてみたいと思わせる作品だ。
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