精神科医として多くの一般向け著書を出している筆者が、 医者としての長い経験をもとに(精神科医に限らず)研修医が初期に直面するであろう 臨床現場の問題に、彼なりのスタンスで解決策を提示している。 得てして医者としてのステレオタイプな理想像のままだと、現場ではうまくいかない場合が多い。 これは医者という職業に限らないかもしれないが。
筆者は「シニカルさ、多少強迫的な傾向、羞恥心」を必要な条件として挙げ、 さまざまな現場での難題を劇的に解決するというよりはやり過ごすというか 時にはけむに巻くような方法で乗り越えていく。 こうした方法は時にはアツい研修医には物足りないかもしれないが、 医者自身の負担にもならずに臨床経験を長続きさせる最適な方法なのかもしれない。 字面では物足りない感じがしても、筆者のこうした一言一句は長い時間をかけると ジワーッと患者さんの心に沁み込んでいくような貴重なアドバイスである気がする。 その場での快刀乱麻な解決よりずっと有益で優しい解決策であろう。
多少筆者の意見に逆行する質問者に対する過剰に攻撃的な言が気になるが、ご愛嬌でしょうか。
前作「深夜1」は署訓を決めるというテーマでしたが、今回は踊る2のテーマ“増殖”にちなんで深夜のテーマも二つに増えました。「湾岸署のキャラクター(湾岸くん)のデザイン」と「神田署長の自叙伝」です。 深夜1は10分番組でしたが深夜2は15分番組になり、これも増殖です。 DVDでは途中に亀山P出演(深夜1と違い君塚氏はいません)のミニドラマが挿入されており、こちらのテーマは自叙伝映像化交渉です。 他に、本当の「湾岸くんが出来るまで」のドキュメンタリータッチの特典映像などがあります。 踊る大捜査線好きには楽しめる一本だと思いますが、DVDとしてみるともう二つ三つ特典映像が欲しかったところです。
精神科医として冷徹に患者を観察し、自己の深淵を観察したいまだかつてない「幸福論」。
本書では幸福とは'(1)不幸と不幸の間の状態、'(2)その形態は各人それぞれ異なる、としている。
以下に共感した部分を抜粋する。
「世界の構造、そしてそれを垣間見た実感とはどのようなことか。 日常の事物にはすべて意味があるという感情を抱いたときに、 取るに足らない日々の光景であろうと相関性は理解することは出来ないにせよ、 すべてが尊重され大切にされるべきであると感じられる ーそんな精神状態の別称である。
いっぽう世界と和解するとは、自分がこの現実で生活を送っていくことを認め、 その事実において世の中には嫌なこともあろうが楽しいことだってちやんとあるだろうと 希望を抱く心性を指す。」P161〜P162
優れた鬼畜外道実話系ホラー作家である平山夢明氏のファンである私は氏の容赦なく凄惨な物言いを求めて本書を手にとったが、本書の真の価値は、ホラー作家のそれを上回る対談相手である現役の精神科医の容赦なく凄惨な物言いと酷薄な視線、その立ち位置の確認であった。 精神科医が患者の話を聞きながら心中真実何を思うのか興味はあったが、少なくとも現役で治療中の医師がこのような告白というかネタばらしをしているのはたいへん貴重な証言ではないかと思われる。 本書を読んで医師を恐怖し精神科にかかれなくなる患者さんもおられようが、私はむしろ安心し、ニヤリと笑いながらカウンセリングを受けることが出来るようになった。 平山氏の読者にとってはまちがいなく良書である。 しかし春日医師の読者にとってはどうだろう?私もそのひとりであるのだが、果たして安易に薦めて良いものやら…(笑)
ヨハンガルトゥングが編著であり、平和学の入門書ということで購入したものの、内容が難しかった。ある程度、入門書を読んでから購入した方が良いと思う。また、翻訳しているからか日本語の言い回しが難解で、部分的に何度か読み直さないと分からなかった。
しかし、現代平和学の第一人者であるヨハンガルトゥングが書いている章は充分に読む価値がある。
|