JR新宿駅東口を出て左へ徒歩15秒。ルミネB1の一画。 低価格なのに素晴らしく、うまい飲み物と食べ物のあるお店、ベルク。
私が最初に出会ったのでは、97年春くらい。 もうかれこれ、10年来のお付き合い。ぶらりと気軽に寄れるお店。 京都出身の私が、東京のオススメできるお店で 常時3本の指に入ります。永久欠番のように、です。
何でもおいしいから、お店のこだわりは 相当なものなんだろうなと、漠然と感じていました。 しかし、この本を読むと そのこだわりは「お客さんに喜んでいただくため!」という 非常にシンプルな情熱から来ていると判りました。スゲー。 ベルクという店が好きで本当によかったと心底思いました。 色んな方が、「新宿のオアシス」と、たとえる理由は 決して大げさなものではないですね。 私にとっても、居心地のいい大切なお店です。
そんな大好きなお店、ベルク店長の本。面白くないわけがない。 手に入れてから、一気に読んでしまいました。 カフェを始めたばかりの友人にもプレゼントしちゃいました。 そのくらい、商売おいて不可欠な心構えが この本には惜しげもなく、記されています。 とはいえ、「こうすれば必ず儲かる」などという 怪しげな啓発本の類とは、訳が違います。 何につけても、大切なものは「心」であるということが 伝わってくる本です。
ベルクというお店そのものについて、もう少し記します。 一番の魅力は、一人でサクッとビールを飲めること。 300円から、おいしいビールが飲めるのですよ。 フードもおいしい。(私は、特にホットドッグが好きです)
そのベルクは現在、ビルのオーナー(資本はJR東日本!)に 立ち退きを迫られるという、嫌がらせを受けています。 ビルテナント内で、ダントツの客回転率を毎年誇っているにも関わらず、です。 ビルオーナー側が立ち退きを迫る主な理由は 「ルミネをファッションビルにしたいから」 「ターゲットを20代〜30代の女性に絞りたいから」などという身勝手なもの。
新宿駅前、否、日本国内のあらゆる個人経営店は、 「規制緩和政策」によって破壊されていこうとしています。 大資本のお店ばっかりになって、 味気ない手抜き料理、ニセモノのお酒ばかりの文化になってしまったら、 日本はもっともっと、楽しみのない、 救いようのない世の中になってしまうかも。 食事は腹が満たされればいい、という訳ではないですよね。 酒は酔えればいい、という訳ではないですよね。
ベルクへ行ったことのない方、 よくわからない話でごめんなさい・・・。 でもでも、一度もいったことのない方は、勇気を出して行ってみましょう! 最初はちょっと面喰うかもしれないけれど、 居場所がきっと見つかるはず。
お酒ダメな方も大丈夫。ここはコーヒーなどの ソフトドリンクも、ほんとうにおいしいですよ! 是非!
古い録音のものだったので、心配でしたが自分の思う演奏に近かったのでよかったです。
このタイトルはうまいと思ったなぁ。
小論の集大成といった構成であり、中は大きく三つに分かれ、第一部がバッハ論、第二部が著者が二十世紀のバッハとするシェーンベルク(とバッハ)論、そして第三部が音楽史となっている。
実質バッハを論じているのは第一部だけなのだが、以降の全てがバッハという巨きな存在から派生する大きな波をとらえた論考として成立しているのだ。
第一部のバッハ論は楽譜の分析なども多く、素人の私には正直わからないところも多かったのだけれど、ひとつ『バロック的空間はまことに音楽的なのである』ということばにはとても魅かれるものがあった。逆に言い換えると、『ある種の空間にはとてもバロック的な響きが感じられる』ということにはならないだろうか。
著者はルネッサンス期以降のバロック様式建築についてこの言葉を用いているのだが、現代建築のすっきりとしたラインにおいても優れたものには常に音楽的な響きを感じ取ることができる、そんな風に思えるのだ。
音楽と数学の関連性はいろいろなところで触れられているが、その「構築美」というものを最も具現化したものが建築なのではないだろうか。
シェーンベルクについては今まで聞かず嫌いだったところがあったのだが、これをよい機会としてちょっと聞いてみたくなった。
また第三章においてもドイツの(ゲルマン風の)カレンダーに基づいたモーツァルトの作品分析など、とても興味深く読めるものがあった。
ちょっと分厚くてしんどかったけど読みがいのある本だと思う。
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