これほど多くの技法が紹介された認知行動療法関係の本は、邦訳された文献中、これだけではないでしょうか。技法を臨床で使う際に役立つツールも付いていて、とにかく実践的な本です。クライアントのことを考えながらこの本をパラパラめくっているうちに、そのクライアントへの介入のアイディアを思いついてしまうこともしばしば。
ただし、認知行動療法の基本(セッションの構造化の仕方など)については書かれておらず、初心者向けではありません。初心者は、伊藤絵美先生の「初級ワークショップ」など入門書を何冊か読んでからでないと、使いこなせないでしょう。その意味で、中級以上対象の本です。
また、著者本人が序章で述べているように、認知行動療法のうち認知的側面により焦点を当てた内容となっており、行動的側面(たとえば、問題解決技法など)にはあまり触れられておらず、その点が残念です。行動的側面に焦点を当てた技法について、同様の本をもう1冊書いてもらいたいところですが…。
友人にすすめられて手にしたのですが本当にあたたかい本でした。2編のお話がおさめられていてどちらも何だかなつかしいような神聖な気持ちになります。特に私はホワイトピアノというお話が大好きです。自然と音楽が聴こえてきそうな空気感に包まれます。装丁もとってもきれいでずっとずっと大切にしたい本です。
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