夜になるまえに [DVD]
主演のハビエル・バルデムが、アカデミー主演男優賞候補になり話題になった作品。
時代は、キューバ革命前から描かれる。
同性愛の作家が、カストロ政権下で迫害と弾圧を受けつつ、自由を求めて亡命する。
自由って何だろう?と考えさせられた作品だが、決して重くはない。
人が人を思う気持ちは止められないもの。
肉体は滅びても、思想は滅びないもの。
共演者として、J・デップが二役で登場するのが見所。
取り調べを行う軍服姿が凛々しい美形の将校、あっと驚くような女装のボンボンちゃん。
J・デップの美しさを再確認できるような二役だった。
無修正でオヤっと驚くような水中シーンあり。
浜辺で語られる「ゲイ」の種類のうんちくが面白い。
万人受けは難しそうだが、J・デップファンを含め一見の価値がありそうな作品。
キューバ革命、カストロ政権をちょっと違う角度から捉えていて、興味深い。
「自由」を求めた末に得たものは・・皮肉。
夜になるまえに ― オリジナル・サウンドトラック
ずっと見損なっていた映画を相当遅れて、やっと観ました。ジュリアン・シュナーベル監督作品3作中ではベストだと思いました。そして、音楽もベストでした。
特にキューバン・ミュージックのファンではありませんが、絶妙な陽気さと哀愁のミックスチャーは、当時のキューバを音楽自体が映画の主題を物語っていて、素晴らしい!
単に、あの映画に対する選曲が良かっただけかもしれませんが・・・。
逆に、音楽は音楽で完全に独立したパワーをもっており、音楽を聞いても映画のシーンを思い起こさせない。
通常映画は、映像と音楽が表裏一体になっており、どちらかが欠けると、どちらかだけだと、その両方の「マジック」が失われる。
何度も、それには失敗した経験があり、今回は成功!でした。
映画の内容と同等にその音楽も優れていたと思います。
そして、原作も読みましたが、敢えてあの作品を映画化したシュナーベルを監督として尊敬します。おそらく、一作家として原作者に対する深い共感と愛情があったからできたことでしょう。
その深い思いが、音楽に至るまで徹底的にこだわったことが伺える一作そして一枚です。
夜になるまえに【廉価2500円版】 [DVD]
主人公がゲイである、くらいの予備知識しかありませんでしたが、
ストーリーが進むにつれ、
その壮絶な生き様に圧倒されました。
まるで「バッド・エデュケーション」のガエル・ガルシア・ベルナルのように。
でも、こちらは実在した作家。
今でこそ、チェ・ゲバラなど、当時のキューバ革命についての情報も人々が知ることも多いですが、
実際に迫害を受けていた人々の側の視点からの作品。
人間が、人間らしく生きるには、なんと困難が付きまとうものか。
陳腐な言い方ですが、時代という波にもまれ、それでも信念を貫き通し、
やがて病魔に蝕まれて亡くなって行く。
それが自然の摂理であるかのように、
冒頭からの自然の風景のカットのなんと美しいことか。
緑、川、海、・・・すべてがあるがまま。
レイナルド・アレナスもきっと、そうやって「あるがまま」生きたい、そう願っていたのでしょう。
テーマがテーマだけに、ちょっと気楽には見れないな、とは思っていましたが、
いったん見始めたら、途中で止めることはできませんでした。
物凄い迫力。
満点です。
ショーン・ペンがよかったなぁ。
夜になるまえに
作家として優れた才能を持ちながら、キューバのカストロ政権の下で同性愛者として迫害されつづけた人生。自由を求めて死の恐怖におびえながらアメリカに亡命するものの、そこではキューバのような生命力溢れる海や空もなく、心を満たしてくれるものは見つからなかった。でも彼の幼少時代の経験や性的冒険は私たちが持っていない魂の自由を感じさせます。彼の人生は幸せではなかったかもしれないけれど、私は彼が短い人生を誰よりも壮絶に駆け抜け、誰よりも必死に生きていた、そのことを充実した人生だったと思いたい。私たちに自由とは何か、心に大きな波紋を残す作品です。