雨に唄えば
ジーン・ケリーの代表作にして、タップといえばこれ!の映画「雨に唄えば」。ワタシが好きな曲は「good morning」で、主役のケリー、オコナー、レイノルズの3人の爽快なタップシーンで流れる曲です。劇中のクラシックなスコアも豊富で、この一枚で映画の雰囲気は完璧に味わえます。映画の中で、ケリーやオコナーが歌う「you were meant for me」や、「you are my lucky star]なども収録されており、ミュージカルの雰囲気をたっぷり楽しめる1枚だと思います!
雨に唄えば [DVD]
*レビュー掲載後追記:
【以下レビューは、北米盤Blu-ray(ASIN: B0087YYHZU)に対するものであり、Amazon.co.jpが勝手に他メディアにも転載しています】
邦題『雨に唄えば』
1927年ハリウッド。ドン・ロックウッド(ジーン・ケリー)とリナ・ラモント(ジーン・ヘイゲン)は、モニュメンタル映画の看板コンビ。絶大な人気を誇る2人だったが、トーキー作品『ジャズ・シンガー【字幕版】 [VHS]』が大ヒットを記録したことで、2人もトーキー化の波に呑まれる。問題は、リナの悪声。案の上、2人の初トーキー作の試写では、笑いが起きてしまう。そこで、会社とドンは、駆け出しの女優キャシー・セルドン(デビー・レイノルズ)にリナの声を吹替えさせる妙案を思いつき…。
言わずと知れたMGMミュージカル黄金期の傑作の1本。プロデューサーのアーサー・フリードが、1929年の『ホリウッド・レヴュウー』で書き上げた曲"Singin' in the Rain"。その曲をモチーフにして、アドルフ・グリーンとベティ・コムデンがストーリーを作り上げたのが本作。単純明快で幸福感溢れるミュージカルだ。2006年のAFI(アメリカ映画協会)の投票では、「アメリカ映画史上最高のミュージカル作品」に選ばれた。
本作の"Broadway Melody"のナンバーで、"Gotta dance !"(「踊らなくちゃ!」)と、ケリー扮するドンが高らかに叫ぶが、そのセリフが、本作の精神を見事に要約していると言えるだろう。そして、それは、気持ちが高まり、歌い、踊らずにはいられない、というミュージカルというものの本質でもある。とにかく、本作は、幸福感溢れるナンバー(歌と踊り)が次から次へと出てきて、観る者の耳と目を存分に楽しませてくれる。"All I Do Is Dream of You"、"Make’em Laugh"、"You Were Meant For Me "、"Moses"、"Good Morning"、"Singin' in the Rain"…そのどれもが、レイノルズ、オコーナー、ケリーそれぞれの個性を生かし切った朗らかで明るいもの(もっとも、振付のケリーのレッスンは相当厳しかったらしく、レイノルズもオコーナーも大変な思いをしたそうだ)。レイノルズのはじけんばかりの若さ、オコーナーの芸達者ぶり、ケリーのダイナミックさ、三者三様の素晴らしさが見事に描出されている。しかも、そのどれもが、ドラマでのエモーションの高まりから自然に歌と踊りへと必然的かつ無理なく移行するもので、このあたりは、さすがケリーとドーネンの周到に練られた演出といったところ。
また、本作は、純粋で明快なミュージカルであると同時に、映画のイリュージョンを暴いてみせた、なかなかに風刺の効いたコメディ的側面もある。サイレント期という舞台設定もあるが、ドンとリナがお互い罵り合いながら甘いラブ・シーンを演じる可笑しさ(早川雪洲が、サイレント初期の撮影中に、「腹が減ったー!早く昼飯が食いたいー!」などとデタラメなことを言って演じていたという逸話を連想させる)。どんなに、いけすかない人物(リナのような)でも、スクリーンでは美しく映るという不思議さ。毒気たっぷりのブラックな味付けではなく、あくまで軽やかなコメディ調ではあるものの、グリーンとコムデンの視点は意地悪で辛辣だ(ただし、そういった映画のウソッパチも含めて映画とその世界に住む人間を肯定している)。今後は、歌や踊りのみならず、脚本のこういった点も評価されていくかもしれない。
本Blu-rayは、同作製作60周年を記念して、テクニカラーの保存用第2世代35mmマスター・ポジ(残念ながら、35mmオリジナル・ネガは、1978年のジョージ・イーストマン・ハウスの保存庫火災で焼失)から、4Kでフィルム・スキャン、レストアされたマスターを使ったもの(ただし、1920×1080に落とされてエンコード、オーサリング)。10年前の50周年盤DVDもかなり上質の画質だったが、新たなカラコレ(色補正)で色調が再調整され、色合いの艶やかさが増し、ディテール表現もより豊かなHDならではの素晴らしい画質になっている。5.1ch DTS-HD マスター・オーディオも、不自然さはなく、ミュージカル場面では威力を発揮している。
特典には、50周年盤DVDのコメンタリー(デビー・レイノルズ、ドナルド・オコーナー、シド・チャリシー、キャスリーン・フリーマン、スタンリー・ドーネン、ベティ・コムデン、アドルフ・グリーン、バズ・ラーマン、映画評論家ルディ・ベルマーによる)、『ハイスクール・ミュージカル [DVD]』や『glee/グリー DVDコレクターズBOX』の関係者、『シカゴ [Blu-ray]』のロブ・マーシャル監督などによるドキュメンタリー"Singin' in the Rain on a New Generation"(約50分、HD)、予告編(約4分、SD)が収録。ケースは、大きく穴のあいたエコ・ケースを採用。
本Blu-rayは、北米盤ながら(そして、パッケージ裏には記載がないながら)、日本語字幕入り。50周年盤DVDの手書き風フォントでなくなったのは、ちょっと残念なところか。初期言語設定が日本語のBlu-rayプレーヤー(つまり、コード・フリー化などされていない通常の日本製R-Aプレーヤー)で再生すると、自動的に日本盤として認識され、問題なく視聴可能。2012年9月5日発売予定の日本盤も、本盤をローカライズしたものになるはずだ。
50周年盤DVD『雨に唄えば 50周年記念版 スペシャル・エディション [DVD]』に収録されていた特典の再録DVD、DVDコピー、復刻版ポスター3枚、48ページのカラー豪華本、オリジナル傘などが付いた"Ultimate Collector’s Edition”も同時発売されているが、特に特典やごてごてした付録に興味がなく、すでに50周年盤DVDを持っている人には、本Blu-rayが最適なのではないだろうか。何より、画質と音質の向上こそが、60周年盤の最大の目玉なのだから。ヴィデオ、レーザーディスク、DVDで、本作を観て来たミュージカル・ファンには、家庭でここまでの画質と音質を堪能出来る時代になったことに心から感謝せずにはいられないはずだ。当然、星5つ!
【初回生産限定】雨に唄えば 製作60周年記念リマスター版 [Blu-ray]
戦後間も無い頃、ある映画ファンの男が10~20代の8年間に渡って約3000本の映画を鑑賞し、それをノートに書きとめていました。ビデオのない時代ですから、きっとこうして作品を自分の中にとどめておきたかったのでしょう。これは横山大観の画・刀剣・骨董が好きな彼の兄に「映画などと言うものは愚の骨頂」と燃やされてしまったのですが、それでもできるだけ男は息子に語り聞かせたのです。男が知る3000本から息子に薦めた最初の映画は「雨に唄えば」でした。観賞後の感動で父親の価値観に触れ、何か分かり合えた気がして息子の中で男に対する尊厳が生まれました。反抗期を迎えていた息子は男に逆らい、自分とは合わない人間と考えていたのですが、同作品を通して理解しあえたのです。
しかし、それから10年後の夏、男は倒れました。一命は取りとめましたが病で過去をすべて忘れ、人が変った様に沈黙しました。そうっと生きているだけの人間になった男の姿は、家族にとって辛いものでした。約10年後、息子は「50周年記念版」を知り、これを購入して男に観せました。男はいつものように輝きのない瞳でブラウン管を見つめていましたが、劇中に流れる「ビューティフルガール」のシーンを観て突然口ずさみ、過去の記憶を少しずつ話し始めました。家族が驚きました。映画の力が起こした1つの奇跡としか思えません。目頭が熱くなり、心が震えました。「映画を観た後な、幸せな気持ちになるだろう。ベストって(こういうことを)言うんだ」とそれまで無表情だった彼が笑いました。
皆さんは、生涯を通じてベストと言える映画に出会っていますか? この男は「雨に唄えば」が自分を取り戻す鍵にもなった「ベスト」だったのです
雨に唄えば/特別版 [VHS]
MGMの有名なミュージカルナンバーを集めたこの作品は、無声映画からトーキーに移行した1927年頃を舞台としているが、トーキーの到来とともに、映画が百八十度変化した姿を良く捉えているだけでなく、心に残るナンバーを唄う事によって、ミュージカルの楽しい部分を全面に押し出している。この作品は、非常に完成度が高く、俳優達の歌と踊りは彼らのキャリアの中でも最も素晴らしいものの一つとなっている。この映画は、どうしてもジーン・ケリーの雨の中で歌う"Singin'in the rain"のあの印象的なシーンが有名だが、ドナルド・オコナーの"Make 'en Laugh"での一人パフォーマンスは、はっきり言ってジーン・ケリーを超えた凄さである。あれをみるだけでも、この映画を見る価値が絶対にある。ミュージカルが苦手な方でも、この映画は楽しめるのではなかろうか。観ているだけで楽しくなる一作である。
雨に唄えば 特別編【字幕版】 [VHS]
いつ見ても楽しい作品。
ジーン・ケリーの雨の中のダンスは、あまりにも有名だが、私的には
やはり、ドナルド・オコナーがスタジオで一人唄い踊るシーンが好きだ。
それと、悪女役のジーン・ヘイゲン、劇中劇のしっとりとした美女ぶりと、舞台裏での自己中ぶりのギャップが、この映画のスパイスだが、あの悪声は、演技なんだって。
本当の彼女は、見たとおりの、しっとりしたやさしい美女、だったらしい。それを知ってますます彼女が好きになった。