この世の果て Vol.1 [VHS]
この作品は非常に難解なドラマであると個人的に思っている。
それには大きく2つの理由がある
1、心理テストの答え
作中にたびたび登場する心理テストがある。
「この世に自分ひとりになって、船で逃げなければならない。
次の動物を一匹だけえらんで連れていける。どれを選びますか?」というテストである。
メインキャストのほとんどが羊(つまり一番必要としているのは愛)と答える。しかしシロは船に乗らないと答えた。
最初はまりあも「それじゃテストにならないじゃん」などと言いシロの答えを一蹴するが最終話ではまりあもこの答を選んでいる。船に乗らないとは何を意味するのか、いまいち分からない。
2、この世の果てとは?
本作の題となっている『この世の果て』
個人的にはこの意味も理解に苦しむ。
前述したことにも関係するが、「この世に自分ひとりに・・・」
の心理テストでは自分は『この世の果て』に行くことができる。(自分以外の人間がいない世界に行くことができるからその時に何を連れて行くのかによって『この世の果て』に何があるのかが見えてくるのではなかろうか。
つまり羊=愛
孔雀=金
馬=仕事
虎=プライド
私の論理によると彼ら(まりあとシロ)は何も連れていかないわけであるから『この世の果て』には何も無いことになってしまう。
だが作品を見ている限りではそこには愛があると解釈できる。
しかも佐々木実が自分を破たんさせたルミを見つけたときに「彼女をこの世の果てに連れて行く」と言っていたことも
私が混乱している理由である。
このように本作は非常に抽象性が高い。(私のミスリードあるいは考えすぎかもしれないが)
私は恥ずかしながらまだ10代であり、愛というものをよくわかっていない。
だが本作は「愛とは?」という問いに対して、ヒントを与えてくれている。
私は時あるごとにこの作品を再見して、一生見続けていくことになるだろう。
この世の果てで恋を唄う少女 YU-NO
通常、ADVであれRPGであれセーブした箇所から再開するときは、そのセーブ時からプレイヤーがプレイしたことはゲーム内では「なかったこと」になります。主人公がゲーム内で体験することはとりあえず仮のものであり、プレイヤーがリセットボタンを押すかバッドエンドを迎えた瞬間に「なかったこと」になってしまいます。これがYUーNOの場合は「なかったこと」になりません。YUーNOではパラレルワールド的な世界観にのっとり、任意の地点/時点にプレイヤーがセーブポイントを設定し、バッドエンド・リセット後はその地点/時点に主人公がさかのぼり引き続きゲームを進行するというシステムを採用しています。バッドエンド・リセットとリスタートの間に継続性があるのです。そのため、たとえば一度登場人物の誰かが死んでバッドエンドを迎えてセーブポイントから再開したとしても、その死はゲーム内において「なかったこと」にはなりません。このゲームではプレイヤーの体験がそっくりそのまま主人公の体験となります。リセットボタンを押しても〇〇さんが死んだこと、××さんが裏切ったこと、△△さんと愛し合ったことは「なかったこと」にはなりません。プレイヤーが体験した全ての事象を背負って、主人公は結末に向かって進んで行きます。私はこのシステムと世界観の融合ぶりに深い感動を覚えたわけですが、そんなのそうないですよ。もちろんストーリーもいいです。この世界観に食らいついていけば結末で天も地も無くなるような感覚を味わえるでしょう。超お勧めです。
この世の果てで恋を唄う少女 YU-NO
今作は凄すぎます、最近の紙芝居ばかりのエロゲー業界ではもう発売は不可能でしょう、開発には
非常に苦労したと思います。兎に角、作りこみが半端じゃ無いです、エロゲーでは最高峰でしょう。
シナリオも最高です、感動します!!開発チームに敬意を評したいです♪
この世の果て~サントラ
中でも傑作といえるのが、尾崎豊「Oh My Little Girl」のクラシックバージョンだろう。尾崎豊とクラシック、二つの対極的な存在が見事にコラボレートし、哀愁漂う作品に仕上がっている。何度でもリピートしたくなる。
野島ドラマといえばそれまで「高校教師」や「人間失格」のように人間に冷酷な部分やタブーの連続の作風が多かったが、この作品に関してはそれまでの過激な印象は無かった気がする。
日本でも高名なピアニストだった三上がしかしながら「籠の中の小鳥」みたいな人生に嫌気がさし鈴木と共にひものような生活にまで低落する。一見矛盾しているような人生を歩んでいた三上だったけど、なぜか共感した部分も多かった。裕福で何もかも得られる人生が必ずしも最高とは限らないという事を。中盤でそのような裕福な自分に二度と戻らぬようにピアニストの命とも言える自らの手を砕いたシーンは衝撃だった。
野島作品での配役の職人技は毎回驚嘆させられるが、本作品も同じ事が当てはまった。今までトレンディードラマで華やかな役が多かったが、髪型を一変させて、尖っていて冷たい印象を出した鈴木や転落の苦悩を好演した三上を軸にまだ知名度が低いながら独特の演技で魅了した豊川や「野島レギュラー」にまでなった盲目少女の桜井やそれをきっかけに愛心が再び芽生える顔に大火傷を負った青年・金至上主義の医者・自分を奈落のそこへ落とした落とし前として「この世の果て」まで必ずや引きづり込むと誓った人間や知性に欠けているが母性に飢えた青年等。。。。配役もさる事ながら、キャラクター設定の妙も素晴らしいといわざる得なかった。
毎回野島作品に欠かせないのが、テーマ音楽だが尾崎豊の歌もドラマと併せて悲壮感漂うはまり曲だった気がする。
DVD化もされていなく、野島作品の中では特に知名度が高い作品でもないが、私の中ではトップクラスの感銘を与えた作品だ。
今のティーンネイジャーは知らない人も多い作品かもしれないが、野島作品を好んで見る人は是非見てもらいたい。