ピアース・ブロスナンが007とはまったく違うタイプのスパイ役を演じるし、映画の始まりはコメディっぽいやり取りがあるので、お軽い映画と思っていたら後半はシリアスになってきて笑おうと思っても笑えない状況になってしまいました。 仕立て屋とスパイのだまし合いが繰り広げられ、ジェフリー・ラッシュとブロスナンの演技対決は見ごたえあります。特に安ホテルで二人が会うシーンやゲイバーに行くところは奇妙な雰囲気に溢れています。 また実際にパナマでロケが行われたそうで、現代のパナマ社会の混乱した様子が生々しく映し出されていると思います。
ピアースブロスナンの最低な人間性と卓越した諜報技術を合わせ持つ役柄は新鮮でボンド役より素晴らしかったです。
今作で改めて彼の役者としての力量を見させてもらった気がします。
一人の仕立屋の頭の中で描いたことが現実へと変わっていく様は面白い。
スケールは小さいが今作でなぜ戦争が儲かるのかなんとなくわかった気がします。
ジェイミーリーカーティスがおばさん顏のくせにトゥルーライズ同様脱ぎたがるのが吐き気を催しますが、それ以外の脇役陣もかなりハイレベルです。
意外性抜群の秀作。
映画を観る際、新鮮な眼で観賞出来るように、あえて毎回ほとんど予備知識無しで臨むので、今回もジョン・ル・カレ原作で監督もジョン・ブアマン、きっと余計なハッタリとか無しの"渋ぅいスパイ映画"のはずで、さぞかしサントラの方も欧州の曇天の冬空を想わせるような憂鬱な雰囲気が漂ってっと勝手に想像してました…
いやいやとんでも無い、これは全く予想外の設定でした… 映画の舞台は燦々と陽光が降り注ぐエネルギッシュな中米パナマなんです!
ショーン・デイヴィが担当した音楽のトーンは、ブラック・ユーモア溢れる映画に合わせて陽気なサルサの香りがプンプンです。静から動へヴァラエティに富んだ16曲が次から次へと続き、本編に数々挿入されていたエキゾチックな既成曲こそ入ってないが、聴いていていたって楽しい気分になれるサントラになっています…
スパニッシュなギター・ソロとリズミックなパーカッションの素敵な掛け合いも聴き物だが、ラストで流れるちょっとケルティックで印象的なボーカルを聴かせてくれるリタ・コノリーは、ショーン・デイヴィの奥様とのことです…
一人の男が話したあいまいな情報をきっかけに
世界各国を巻き込む大騒動が巻き起こるという
荒唐無稽なストーリーであるにもかかわらず
恐怖と悲しみを感じる点が印象的な作品であります。
まさに「現代的ほら話」といえるでしょう。
|