これは名盤。オリジナルは1975年リリースの「ヴェルディ・オペラ合唱曲集」で、この企画のために録音された10曲入りアナログ盤だった。それをCD化したのち、再リリース時にOIBPリマスターを施し、楽曲を増やしたのが本盤。当初の録音以降にアバドが手がけた作品から、新たに8曲が追加された。日本語歌詞対訳付き。
収録内容はヴェルディ作品を代表する合唱曲を精選。オリジナル盤収録作はトラック[1]〜[6]および[10]〜[13]で、ミラノ・スカラ座での収録(1974年のセッション録音)。演奏と録音のバランスは合唱を中心に置いており、それぞれ独立した楽曲として鑑賞できる。 追加トラックは4つのオペラ全長録音と「レクイエム」からの抜粋(1976年〜81年のセッション録音、収録場所はミラノのCentro Telecinematografico Culturele)。どの楽曲もクオリティは高いが、合唱にオリジナル盤収録作ほどの明晰さや''華’’は無い。これは全長版から抜粋したためで、むしろこちらが本来の姿ともいえる。
演奏は全曲ともに、ヴェルディゆかりのミラノ・スカラ座管弦楽団/合唱団。本作の収録時期はクラウディオ・アバドがスカラ座で権勢を誇った時代に重なり、演奏レベルもひじょうに高い。ヴェルディ作品におけるコーラスは、通常のオペラにおけるアリアにも匹敵するポジションを占めており、プッチーニを振らないアバドの“歌心”を本作では堪能することができる。オペラ愛好家以外の方でも「ベスト・オブ・ヴェルディ」として気軽に楽しめるはずだ。
音楽的にも音響的にも優れた録音ですね。 楽器と歌声のバランスがたいへん素晴らしい。音が上手く編み込まれていく。コルボの素晴らしい構成力に脱帽します。本を読みながら聴こうと思いましたが、引き込まれていきます。無の世界ですね。 バリトンのフッテンロッハーの歌声は艶があり、しっかりとしている。包容力を連想させます。ディースカウよりもこちらの方が好きかも。半面、ボーイ・ソプラノのクレマンの歌声は明るく明晰でありながら、歌唱力ではどうしてもひけをとってしまう。それは大人の女性の歌唱力と比べてはいけないんでしょうけれども。 録音も秀逸ですね。歌唱なのか録音のせいなのか、ボリュームを上げなくても発声が明瞭に聞こえますし、楽器の音の芯もしっかりと聞こえる。音の横への広がりが素晴らしいですし、そういう全身が包み込まれるような音響的な素晴らしさが演奏を一層引き立てます。まるで、3畳半のリスニングルームにいることを忘れさせます。 泣かせるような曲、演奏なのではなくて、私は無の世界へといざなう。そういう演奏だと思います。素晴らしい。
一般的には、第2幕の凱旋の場が有名だ。この演出でも圧倒的なスケールで迫る。 しかし、オペラとしての見どころはむしろ第3幕以降にある。ラダメス役のドミンゴは貫禄として、アイーダ役のミッロの歌唱は本当にすばらしい。アモナズロ役のミルンズも存在感を際立たせている。 レヴァインの抑制のきいた指揮にも好感が持てる。
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