いや〜 実に素晴らしいコンサートです。全11曲どれも見事に聴かせてくれます。残念ながら字幕がないのでトークの内容がわかりませんがそんなのは全然気にならないほど集中できます。音も映像アングルも実に良いです。テイラースイフトのSpeak Nowも良かったけど、円熟域に入ったと言っていいこの三人組の力量は抜群。しかもこんなにリーズナブル価格とは大感謝!100%お薦めの1枚です。
DIXIE CHICKSというグループの名前を僕がはじめて目にしたのは、2003年3月のイラク攻撃にからんだアメリカ発のニュースでだった。グループのひとりがイギリスでのコンサートでブッシュ批判と受け取れる発言をし、そのことに対してアメリカのファンが彼女たちのCDをトラクターだったかトラックで踏みつぶして抗議した、というものだった。彼女たちのデビューアルバム"Wide Open Spaces"は、トータルで1100万枚(!)以上売れたのだという。たしかに踏みつぶせるくらいの枚数ではあるけれど、アメリカ人にそんなにも「愛されている」ミュージシャンの曲とはいったいどのようなものなのなのだろうか? このCDに収録された楽曲は、たとえばケニー・ロジャースのもののようなコテコテの「カントリー」ではない。波打つような発声と演奏の方法がそれらしいが、どちらかというと「ポップス」の範囲に入るのではないかと僕は思う。色彩で表せば、明度はものすごく高いが彩度は低い、という感じ。 生きていることが辛く哀しく感じるときには、DIXIE CHICKSのこの「明るさ」は救いになりうる。そんな気が、僕はする。それは、彼女たちの音楽が前へ前へと「前進」していくものだからだ。けして落下したり立ち止まったりすることなく、それはいつだって、前に進んでいく。この「前進性」はとても貴重だ。未来に向かう人たちへの応援歌、と言ってもいいだろう。
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