新太平洋戦記 空に敵機、地上に愛 (アクションコミックス)
太平洋戦争末期の戦闘機乗りの話をまとめた短編集。雷電、月光、一式陸攻、疾風、隼、零戦、飛燕などが著者独特の迫力ある絵で描かれてある。
ストーリーは劣勢の中で簡単に死んでいく搭乗員の非情さを描いているが、「月光、夜明ヲ見ズ」において自らは生きたい思っただけなのに結果として英雄になってしまった搭乗員が、死後の自分を見つめながら空中に浮いて空を漂っている姿はまさに千の風になったと思った。
陸軍4式戦闘機「疾風」 (世界の傑作機 NO. 19)
個人的に松本零士の『コクピット』の一篇でやたらと印象に残っている機体です。
本は写真と図版が多く、モデリングに初めて挑戦する人には、廉価で良いのではないでしょうか。
記事ではやはりエンジンの故障が多かったということが書かれており、日本人よりアメリカのほうがこの機体を高く評価していたのではという印象を受けました。
戦時中のパイロットらによる華々しい体験談はあまり見かけないので、戦後にアメリカ軍が行った搭乗試験のレポートが読みたいものです。
陸軍戦闘隊撃墜戦記〈2〉中国大陸の鍾馗と疾風1943‐45年―飛行第9戦隊と85戦隊 (陸軍戦闘隊撃墜戦記 2)
落下傘降下中のパイロットを最初に撃ち殺したのは、資料がないのに日本軍が最初とか、記録がないという理由で、米中軍の損害は全部対空砲火だとか、中立というよりは米軍寄りに感じましたが、それ以外はよかったので、星3つとさせていただきました。
決戦戦闘機「疾風」 2011年 08月号 [雑誌]
まず、飛行第11戦隊・第1446号機【 キ84甲 】1/32中島 キ84 四式戦闘機 疾風 宇都宮飛行場/航空自衛隊入間基地での1973年の10頁に亘る飛行写真『 還ってきた「疾風」 』、鹿児島県知覧の現行保存機の15頁に亘るカラー写真『 クローズアップ “ HAYATE ”』/『 里帰り「疾風」のいま 』の記事に圧倒されます。
本書には「筑前町立・大刀洗平和記念館」の97式戦闘機乙、オレゴン州ティムラック航空博物館の「隼」【 III 型甲 】、 ワシントン州【 I 型丙 】、アリゾナ州【 II 型 】、第26頁-第33頁『現存する日本陸軍戦闘機』知覧特攻平和祈念館の「飛燕」【 キ61 II 型改 】、英国空軍博物館の「五式戦闘機」【 キ100 - I 型 】のカラー写真は、旧日本陸軍航空隊「現存機・保存版写真集」としての購入価値ありです。
模型ファンには「松戸迷才会」の飛行第47戦隊の 1/32 キ84甲、及び「三宅 恒夫」氏製作の 飛行第246戦隊 1/6 陸軍97式戦闘機乙 が興味深いです。
第104頁-109頁のハ45【海軍別称「誉」】の『「ハ四五」を知る5つのキーワード』記事に関しては、製造工程上の特徴であるアルミ板鋳込み【冷却鰭(ひれ)効率向上の為】が、製造技術低下と粗製乱造による工数削減の現場要求により「砂型鋳物」に戻されたとする記載が従前の記事の論調でしたが、これが新製造法である金型による圧力鋳造方式『ブルーノ』式開発までの繋(つな)ぎであったという新事実の摘示は、航空技術研究家のみならず、航空ファンにとっても購入価値ある内容です。
さらに軍事雑誌『丸 2011年 08月号 [雑誌]』らしい専門記事として、第110頁-115頁の『 「陸軍航空用機関砲」大口径化への道 』が挙げられます。
ホ103を中心とした解説には、大口径機関大向けの『ロング・リコイル式 』を使わず、敢えて『ショート・リコイル式』【コルト・ブローニング社製の航空機関銃/機関砲に特有の特徴】で37mm の大口径まで乗り切った米軍絶賛、陸軍技術陣は自嘲の火砲技術への努力、更に信管技術未熟に対応した空気断熱を利用した着火信管の開発などは、戦闘機を「航空機」として捉える「航空雑誌」系別冊では思い付かない視点で、「国本 康文」氏の知識と研究には頭が下がる思いです。
各飛行戦隊(航空軍事組織としての)解説は、軍事雑誌系の編集部の強味を活かして詳細を極め、航空ファンや同模型ファン、或いは『MC ☆ あくしず 2011年 08月号 [雑誌]』や『劇場版制作決定記念アンコールプレス ストライクウィッチーズ Blu-ray Box 限定版(数量限定生産)』など、萌えアニメから第二次大戦機に興味を持ってこの世界に足を踏み入れた男子【女子も?】には「実機派の航空解説が何たるか?」を知る良い機会になると思います。
第155頁-第156頁( 本文が「縦書き、右から左進行」の和式なのに、この記事のみ「横書き、左から右への逆進行頁」という拘りに感服 )の『 疾風を蘇えらせた男 』「エド・マロニー」【 Ed Maloney 】氏のインタビューには特に圧倒されます。
P-47サンダーボルト (世界の傑作機 NO. 37)(雷電)の「バット・マッヘラン」【 Batt Matheran 】氏の機転で、世界唯一の現存機である「疾風」が胴体着陸を免れた逸話や、皇族『高松宮と海軍 (中公文庫)』殿下との会話(英語)の内容、日本に里帰りした結果、二度と空を飛べなくなった疾風に対する「我が子を失ったかのようなエド氏の無念さ」が身に堪(こた)えます。
散々既出ですが、疾風は日本に戻らず、「プレーンズ・オブ・フェイム」【名誉の航空機】航空記念博物館で余生を過ごした方が、当事者と本機にとって幸せであったに違いないと、女の私でも『復元に青春を懸けた』男達の無念さに共感と同情を禁じ得ません。
総括すれば、大東亜決戦機「疾風」を基調中心としながらも、旧日本陸軍航空隊の「現存戦闘機の写真集」+「疾風の発動機と航空機関砲、所属飛行戦隊と塗装図」に焦点を充てた、ビジュアルと技術記事&模型参考記事&航空戦史の各バランス配分に気を配ったオールマイティな良質のムック本として、初めて興味を持った入門ファンや航空技術(史)専門家などのアマチュアからプロまでの万人にお勧めできると良書だと感じました。
迎撃戦闘機「雷電」―B29搭乗員を震撼させた海軍局地戦闘機始末 (光人社NF文庫)
雷電そのものに関する関する情報は、“参考文献”である渡辺洋二氏『局地戦闘機 雷電』(朝日ソノラマ)と重複。局地ではなくわざわざ"迎撃”としている点も臭さを強める。
一方で戦争や開発スタッフの状況に関する情報が割と多く、また僅かにちりばめられている本人の体験は興味深い。
気に入らなかった点は
章の始めにある挿絵。私は気が散らされて不快。