八甲田山 特別愛蔵版 [DVD]
文字通りの大作です、そしてカメラマン木村大作さんの映像世界としても大作(シャレじゃなくて)CGなど使えない時代に格闘するように撮られた映像からは迫真の怖さが伝わってきますし、発狂する兵士やうまく小便ができないために倒れてしまう兵士などのエキストラたちの演技もすばらしいです。
物語の中心となる北大路さんの哀しいまでの中間管理職的立場がよく描かれています。そして権威というものをはき違えたリーダーの典型と、計画的に事を成し遂げるリーダーの違いを見せてくれる映画です。金目当てか?と案内人を追い返すのと比較して「案内人殿に敬礼!」と敬意を表す高倉健などなどわかりやすい構成になっています。
人間ドラマとして主役二人の掘り下げ方についてはこの長い時間でも足りないものがありましたが、それ以外はやはり日本を代表する映画のひとつという風格のある作品。
ミスを犯しても助けられる人と、人を助けるために倒れていく人がいたんだな…などと思いをめぐらせる映画でした。
孤高の人〈上〉 (新潮文庫)
新田次郎の文章力は大したものである。登山をやっていないものであっても、おそらく、文中に引き込まれてしまうであろう。
加藤文太郎は登山界において大変に有名な人であるが、それは彼の精神力によるところが大きいのではないだろうか。それ故、他人に合せず、「孤高」と言われるまでの存在になったのではないだろうか。
そんな彼が、20代後半に結婚する事によって、意識的にか無意識的にか、孤高の世界から和の世界に移り始めた。その変化を楽しんでいるときに起きた悲劇は、他人とのスタンスをいかに取るべきかという点までを考えさせる好著である。
NHK少年ドラマシリーズ つぶやき岩の秘密 [DVD]
声とともに、あの暗い重い波の向こうに、真実があります。
少年も過去に立ち向かいますが、また、おとなが良くこれを助けます。
人間の欲が生んだ悲劇が、やがて昇華されます。
氷壁 (新潮文庫)
新進の2人の登山家の一人が山で事故にあう。切れるはずのないザイルが切れたのか、あるいは誰かが切ったのか、事故か自殺か殺人かと言う状況の中、残された登山家と、死んだ登山家が愛していた人妻、同じく死んだ登山家の妹との恋愛感情のもつれを事故に絡め、緻密に描いていきます。私などにとってはあの懐かしい昭和のよき時代も偲ばれます。
一見長い小説で手に取りにくく思われる方もいるでしょうが、極限状態の連続で一気に読めてしまえます。間違いのない名作です。
聖職の碑 [DVD]
新田次郎の小説を先によみ、感動して、本DVDを購入しました。
一時期は、DVDはもちろん、小説自体も手に入れることもできなかった作品のようです。
誰でも手に入れることができる環境になったのは大変よろこばしい。
小説にくらべて、白樺派のことなどがはしょられているため、こちらだけを見ると、やや理解しにくい場面があるかもしれない。
しかしながら、教師とはないか、ということの本質は、決して省略されているわけではないので、十分見応えのある映画になっている。
鶴田浩二や岩下志摩の演技もすばらしい。
教師とはなにか、を考えさせられるいい話だと思います。
ぜひ、多くの人に観てもらいたい。