魍魎の匣 スタンダード・エディション [DVD]
「猟奇殺人事件」・「似非新興宗教」・「マッド・サイエンティスト」という3つのテーマを無理矢理ひとつにして4で割ったようなコメディ風ホラー映画である。
本作では昭和27年の日本の市街風景の再現を狙って中国(China)の地方都市(蘇州辺りか?)でのロケ場面が多いが、屋根の形状や河川風景等に違和感があり、どうしても「三丁目の夕日」と比較してしまう。現場ロケならではの空気感は十分感じられるが、いくら似ているからといって異国の町並みを戦後間もない日本に見立てるのには土台無理があったようだ。
しかし配役においては、主役の堤真一を始めとしてヒロイン役黒木瞳、準主役の阿部寛、椎名桔平と個性派俳優をズラリ並べて抜かりは無い。ただし苦言を呈すれば各シーン毎に主役がころころ変わることがストーリーの一貫性を希薄にしており非常に残念である。
本作は謎解きや怪奇性を期待するよりも、各役者の<成切り度>と<京極風ホラー・ワールド>を気楽に楽しんで観るのが良いだろう。今回もまた主人公京極堂の「この世には不思議なことなど何もないのだよ、○○君」という決り台詞を耳にするだけで満足したのは私だけであろうか?
というわけで、現代中国の長閑な地方都市の観光映画として見るなら十分に楽しめる作品である。
カメをつって考えた (旺文社創作児童文学)
子供への読み聞かせにと、手に取った一冊だった。どちらかというと地味な題。地味な表紙。でも、読み始めたら、親子で夢中になってしまった。毎晩「続き読んで」とせがまれ、「もう遅いから読まない」というと本気で泣かれた。
子供のキモチ、がこんなに丹念に書き込まれた本に出会ったことがあったかなぁ。ないような気がする。池の主みたいな、おじいさんと出会うことで、つりにどんどん引き込まれて、楽しみを見つけいくケイタくんの気持ちが、手によるようにわかるんだなぁ。で、我が息子も、すっかり同調して、「釣りだ、釣りいくぅー!」と大はしゃぎ。そしてケイタくんの釣りを通して、なんか奇妙に自然と触れ合っている気がしてしまう、不思議。
一生釣り続けたおじいさんのことばが、すごくいいなぁ。「お前は、一匹のかめに、そんなに心を動かされたんじゃ。それで、いいんじゃよ。それが、出会いだ。」かみ締めるほどに味があるなぁ。釣りでも、なんでも、これから生きていく人生で、日々の暮らしの中で、我が息子にもそんな出会いをいっぱいしてほしい。私もしたい。
釣りのこと、池の生態のこと、子供の気持ち、長い人生、この一冊に宝物がいっぱい詰まっている。超お勧め。
森の地図
阿部さんの感性が生き生きしています。
子供の絵本なのでしょうが、是非沢山の大人に読んで、見て
もらいたい。
森の地図の意味がきっと分かっていただけると思います。
人間だけの決め事でない約束事が森の地図なんですね。
人だらけの都会では決して森の地図に触れる事は出来ない
のです。
オタマジャクシのうんどうかい (どうわがいっぱい)
ハンデのあるおたまじゃくしを気遣った仲間たち。でも当のおたまじゃくしは「ただみんなと同じように泳ぎたい」だけだった。
大人でも難しい他人への気遣いの仕方。子供にも読みやすいユーモアのある文章で優しく伝えています。最後のシーンも淡々としていて好きです。