薬師寺LIVE (初回限定盤) [DVD]
私はこの「薬師寺ライブ」を実際に見に行きました。徳永さんのコンサートで初めて行ったのがこの「薬師寺ライブ」だったのですが、仏閣が立ち並ぶ荘厳な雰囲気の中、徳永さんの歌声が響き渡り、言葉では言い現せないくらい感動で涙が溢れました。それ以来徳永さんの魅力に取り付かれています。ライブでは、舞台からは遠い席だったので、もう一度間近で見たいと思い、いち早く予約しました。ライブに行かれなかった方々にも是非見ていただきたいです。
木に学べ―法隆寺・薬師寺の美 (小学館文庫)
西岡棟梁の名著、『木のいのち木のこころ』の2年前の作品です。
『木のいのち木のこころ』の頃の西岡棟梁の言葉が丸くなり、非常に普遍性を増しているのに比べ、この本はより彼個人の語り口に近いものとなっています。しかし、珠玉の言葉のオンパレードです(!)
一つ一つの仕事(法隆寺の修理、薬師寺復興など)について詳しく語られています。彼の仕事はもちろん飛鳥建築が主体です。
建築的・職人的な話がメインですので、建築を志す人、建築で仕事をしている人、職人とは何か知りたい人、日本史を志す人にとっては、素晴らしい教養本になると思います。(古い歴史の解釈について、彼と学者の間で激しい論争があったようですが、現在にいたっては西岡棟梁の言葉が本当であったとほぼ認められてい!ます)
そして何よりこの本の本質は、それらの話を通して、現代人の忘れてしまった(昔の日本人にはあった)「自然から、道具から学ぶ姿勢」というものを思い出させてくれるような気がします。
土門拳 古寺を訪ねて―斑鳩から奈良へ (小学館文庫)
私の中で奈良大和路といえば即ち入江泰吉よりほかの誰でもなかったし、今でもそれは変わらないのだが、たまには違う奈良を観てみたくて、手にした。期待にたがわずそこにはもうひとつの大和があった。文庫サイズであるのがなんとも惜しい。もっとも、その手軽さゆえ眺める気になったわけだが。
「世界遺産」の真実---過剰な期待、大いなる誤解 (祥伝社新書185) (祥伝社新書 185)
これまで世界遺産に関する新書を2冊出した著者による、世界遺産の本質を探った本。私も経験があるが、外国に行くとがっかりな世界遺産は結構ある。しょぼそうな世界遺産はなぜ世界遺産に登録されているのか??という疑問に本書は回答を示そうとしている。
登録の基準は「普遍的な価値」の有無にあるが、数値的なものではないだけに、登録はあいまいなものになっている。また、文化遺産の場合、普遍的な価値が今後残りうると見れば、シドニーのオペラハウスやブルーノ・タウトのアパートなど、出来て100年経っていないものでも、ためらわず登録する。本書では登録までの過程を、最近登録活動が行われた平泉や石見銀山を基にして詳細に説明する。事前に数年かけ、かなりの調査が行われていることを感じさせるが、それだけ長い道のりだということも言える。また、1ヶ国当たり年2件しか登録を認められない現在、国内だけで30以上登録活動をしている遺産がある。登録の見込みは薄いし、登録して観光客が急増すると、遺産が荒れるなどマイナスの影響も少なくない。にもかかわらず、専門のスタッフをつけるなど、少なくない税金も使われている問題点も著者は指摘している。
世界遺産=世界的観光地と表面的な理解がブームの要因でもあり、世界遺産を楽しむためにはより深い文化、地理や歴史などの背景を知ることが重要だと著者は語る。教科書的な感じがあったり、世界遺産の範疇で救い出すのは困難ではないかと思う、地名、言語の問題が出るのはどうかと思ったが、著者の考えはおおむね納得できた。