その後とその前
この本は3.11の震災前後に行われた、寂聴さんとさださんの対談を交互に構成されています。 戦前、戦後、震災前後いろんな時代を生きてきた寂聴さんの人生経験をバックボーンにさださんが自己の思いを語り、寂聴さんの思いを引き出していきます。二人の人間愛に対する信頼や希望、そして人間愛が喪失されていく危機感を訴えます。 人として生きるという意味を深く考えさせられた本です。
あの世 この世 (新潮文庫)
修行のところを読むと、あまりの厳しさに「ゲッ、私にはできない! どんなに大変でも俗世間で
ブーブー言いながら生きていこう」なんて思ってしまいました。
でも、お二人とも仏門に身を置きお寺の主でありながら、私たちとなんら変わりのない社会人の
おひとりおひとりなのですね。
決して仙人のように浮世離れしてしまっているわけではない。
悩み相談を受けても、「こうしなければならない」という絶対的なものを説けないというお二人に
さらなる魅力を感じました。
そして、己の信じる宗教・宗派をもつものの、ほかの宗教・宗派を排除するお考えはもたなくて、
それぞれの良さを温かく見つめていらっしゃるのが素敵だなと思いました。
日本で篤い信仰心をもつ方々の多くが、他教にも理解を示されているようですよね。
本からお二人に励ましていただいて、ゆったり優しく生きていこうと思います、長引く不況に
ますます混沌とする社会ですが、せめて気持ちだけでも…。
いえ、気持ちが変わらなければ、動かせるものも動かせないかもしれないですね。