外科医 須磨久善
「チームバチスタ」のモデルかと思わんばかりのノンフィクションの本
まず、作者の海堂さんは説明するまでもなく、医学ミステリー作家なのですが、
この本は、そのフィクション作家が取り上げたくなるような医師の話です。
内容はシンプルに外科医、須磨久善のこれまでの歩みを並べたもので
高校時代から、現在までをあつかっています。
そして、「チームバチスタ」の縁で医療監修を行ったときの話など
インタビューを中心とした内容につながっています。
須磨さんという人はすてきな人生を歩んできたのがよくわかります。
それ以上に、海堂さんが、まさに「本物」である,須磨さんに
惚れ込み、フィクション作家でありながら、ノンフィクションの
本を出してしまうまでに至ってしまうのがよくわかる内容です。
ノンフィクションの本と言うと、堅めでおもしろさが無かったり
専門的な内容の理解が不足して薄っぺらくなりがちなのですが
医師であり、エンターティメントな作品を作る海堂さんの
手によって、さらにおもしろい内容になっていると思います。
プロジェクトX 挑戦者たち Vol.15 奇跡の心臓手術に挑む [DVD]
とにかく、凄い先生が来る!」
鎌倉の無名の小さな病院はそんな噂でもちきりになる…。
かつて関西の医大を出た彼は日本の病院のやり方には付いて行けなかった…。学閥が医療の現場を縛り付けていたからである。
「医者は患者の為にある。患者が居るから医者がいるんだ!」
かくして海外から…その人は大きな外国病院の部長の椅子を蹴って小さな町医者に成った…。
「天才」と言う言葉を嫌い、努力の人、信念の人…本当の医師がここに居る…
「当たり前」が「当たり前でない」事の方が多い昨今…
胸いっぱいになれます。
タッチ・ユア・ハート
先日の天皇陛下の心臓手術をされた天野ドクターの先生が須磨ドクターというのはあまりにも有名になりましたが、そのスーパードクター須磨久善さんの自伝的小説です。
主にイタリアでの心臓外科医としての日常を通して、心臓外科手術の現場の事など、人の命の一瞬を左右する立場にある医師の考え方、取り組み、また、先生の一生をかけてのドクターという職業に対する姿勢が描かれていて、先生自信の人柄にも触れる事が出来ました。
バチスタ手術という言葉は知っていましたが、実際にどのような手術方法だったのかという事は知りませんでしたが、医学には全くの素人の私にもよく分かりました。
新しい事をするという事は、特に人の命にかかわる手術においては、とても大変な事だと思います。
著書の中にも書いてありますが、「Creative mind and challenging spirit」と言う事は、どんな立場の人にも共通する精神だと思いました。
このようなドクターが今も東京で現役で活躍してくれている事がとても嬉しいです。