ベルリーニ:歌劇「ノルマ」全曲 1952年コヴェント・ガーデン・ライヴ
まだ太っているころのノルマ(笑)。
彼女のノルマとヴィオレッタは、他の追随をまったく許しません。
3年後にスカーラでデル・モナコ&シミオナートと歴史的なライヴ
録音を遺しますが、それに次ぐ名盤(54年盤も捨てがたい。60
年盤では残念ながら声に破綻が見られ始めています)。
基本的に彼女はスタジオよりも、舞台での方が数段優れていま
すね。
1幕の孤高の女司祭から、2幕で愛のために崩壊(ほんとうは
女性としての本当の強さを発見)していくまでの矛盾した「あやう
さ」を見事に歌いきるのを聴くと、やっぱりone and onlyの「歌い
手」なんだなぁと実感します。
それと、この時代にこんな役を書いたベッリーニにも拍手!
彼はプッチーニよりも評価されていいと思います。
ベルリーニ:歌劇「ノルマ」全曲
1960年にトゥリオ・セラフィン指揮の『ノルマ』です。カラス、セラフィンのコンビは、1954年にもこの作品をスタジオ録音していますが、今回はアダルジーザにクリスタ・ルートビッヒ、ポリオーネにフランコ・コレッリと共演者が変わっています。1954年版との比較すると、カラスの声の力は明らかに落ちてきていますが、歌唱の音色で豊かに感情を表現するという点では勝っています。
そして、セラフィンの音楽。ステレオ録音ということもあって、響きは良いのですが、よりスペクタクルで流麗な響きを表現できています。特に第二幕のフィナーレ(通例では第一幕フィナーレ)の三重唱のヒリヒリするような迫力とスケールの大きさにはうならされます。