自虐の詩 (上) (竹書房文庫ギャグ・ザ・ベスト)
最初はね,くだんない四コマなんですよ.おぜんひっくりかえすだけの.
だけどそれが徐々に物語性を増してきて,怒涛の展開を広げていく.
しかも四コマの形を崩すことなく.
物語終盤に出てくる主人公幸江の手紙の文面は,
この物語を読んだ人以外にも充分に伝わる哲学があります.永遠の星五つ.
機械仕掛けの愛 1 (ビッグ コミックス)
「自虐の歌」で笑わせながら泣かせるという離れ技を見せてくれた業田良家氏の新作。
シンプルな絵柄と少ないページを使って、やっぱり本作でも微笑みながら読んでいると、涙が待っている。
「子育てマーシー」、「リックの思い出」では涙が止まらなかった。
あざといと言えばあざといが、それでも胸を打つところが氏の凄いところなのだろう。
そこには人が忘れてはならない感情や心について再認識させられる物語が並んでいる。
人間の愛や尊厳、生きる意味が、ロボットというカリカチュアを通してしか表現されない時代なのだろうか。
氏の人間哲学が垣間見える。
これも傑作に違いない。
新・自虐の詩 ロボット小雪
このマンガを読んで、星新一氏の『服を着たゾウ』(象)を思い出しました。どちらも、人間ではないものが「心」を持ったら、と、富の分配、がテーマですが、星氏の著作が陽なら本書は陰です。現在より進んだ格差社会が物語の舞台なため、どうしてもお話しは暗くなります。
世界の富の描写などは、政治風刺ギャグマンガで鳴らしている著者ならでは。
星が一つ少ないのは、ロボット(アンドロイド)のハードウェア面やアクションシーンの描写が物足りないため。物語はこのままで『攻殻機動隊』の士郎正宗氏が作画したものも読んでみたいもの。作中、小雪嬢が街の監視カメラを直にハッキングするシーンで、コードを首の後ろに挿していますが、『攻殻…』の影響なのかも。
蛇足ですが、本書のタイトルは古典SFの『アンドロイドお雪』を連想させます。そして、レビューのタイトルも…お分かりですね。
自虐の詩 プレミアム・エディション [DVD]
業田良家の原作を愛するものとして。
映画に対する感想として、付加や省略は大いにあるが、原作の持つ生命の賛歌を見事に
表現し得たことには、とても胸を打たれた。
ぜひご覧になってもらいたい。本当に秀作だと思う。
私はDVDを、100回以上は観ると思う。