短篇五芒星
五本の短編小説が収録されている本で、それぞれの作品に共通のテーマのようなものは見出せないのでありますけど、流産に固執してひどい目に会う男とか、アユのところに嫁入りしちゃった姉を心配する妹とか、暗闇の中で四人でするリレー中に、いつのまにか誰かが一人加わっているちょっとした恐怖とか、余命三ヶ月の友人にバーベルがわりにされた男や、大学生のボーイフレンドにたかられる女子高生の同級生の女の子があうだうだうと戦ったりとか、分かりにくいところに面白みを感じて読むことができました。
阿修羅ガール (新潮文庫)
舞城氏はこの阿修羅ガールで三島由紀夫賞を受賞したそうだが、三島由紀夫が何だってんだ。と言いたくなるような展開にクラクラする。
いきなり女子高生が酔っ払ってラブホでやってるし、蹴り入れて帰ってきたら、翌日には相手が死んでる。でも何で死んだかとか、全く関係なく全国の連続殺人の話やら、2ちゃんっぽい掲示板での罵り合いスレが2ページ続くわ、死後の世界に行ってしまうわ。そして出てくる人間にほとんどマトモなのがいなくて、誰も彼もが心理的な闇の部分を丸出しにして、それでも人間が救いを求めたり求めに応じる人間がいたりする。気色悪いけど読んでしまう。
死後の世界に占い師の力を借りて助けに来た男に、勇気を出してコクってたのに「友達じゃだめか」と言われて自殺するシーンは笑わずにいられない。