銀河パトロール隊: 1 (レンズマン・シリーズ)
Review:宇宙海賊?銀河パトロール隊?一見するともう時代遅れ的名称がやたらと目立つ。だけど読んでみると・・・何でだろう?新鮮な驚きと、カッコイイ大人像(w)に満ちている!最近のSF小説を読んでいて思った物足りなさ。それを補う全てがこの『レンズマン』には満ちています。面白いことは保証します!聖なるクロノ神の爪の先に賭けてね!確かに、ネーミングセンスやある程度の科学的な事柄は古めかしい部分もあります。でも、この作品が60年も前に書かれたことを考えれば、逆に新しさを伴って僕たちに迫ってきます。ハッキリ言って、『過去を懐かしむファン』のための作品ではないです。『新しくSFに触れる人』や『若いSFファン』に読んで欲しい!そういうわけで、皆様にとってのSFがより良き物でありますように・・・クリア・エーテル!
銀河パトロール隊―レンズマン・シリーズ〈1〉 (創元SF文庫)
私も中学校時代にはまって以来,宝物にしてきた小説です。おそらく50回以上繰り返し読んだと思います。大学時代には,名古屋の書店で原書を発見し,好きが高じてとうとう読破してしまいました。内容が完全に頭に入っていたので,それほど苦労しなかったですが,本当はこの本の英語のレベルはかなり高い方です。ラテン語を駆使するなど,ちょっとこった文体なので,マイケル・クライトンのジュラシックパークのようなシンプルな文体の現代SFとは違って読むのに少し骨が折れます。そのせいかどうか知りませんが,現在では本家USAではこの本は絶版になっていて,中古品でしか入手できないようです。だから,日本で再翻訳が出て売れるなど,ファンからすれば夢のようなできごとと言ってよいでしょう。ということで,私も早速購入して読ませてもらいました。
読んだ感想ですが,私の場合,小西さんの文章が記憶に刷り込まれているせいか,「ここ違う,なんでそうなるの」と突っ込みたくなって正直読むのがつらかったです。本当に小西さんの翻訳は素晴らしい名訳なので,小隅さんも大変だっただろうなと思います。でも,原文と比較すると小隅さんの方が正確なのは確かです。小西さんは勢いにのって大げさになっている箇所があり,逐次翻訳すると至る所に間違いがあるのですが,またそこがいいんですよね。そもそも英語は日本語にそのままきれいに翻訳できっこないんですから,勢いにまかせてどんどん意訳すればいいんです。小隅さんにも,小西さんのような大胆さがあれば,もっともっと面白い翻訳ができただろうにと,少し残念に思います。但し,指輪物語のように固有名詞を何でも日本語にしてしまうような翻訳のやり過ぎは困りますけどね。