檸檬のころ (幻冬舎文庫)
自身の高校生活も“暗くて無様だったという”豊島ミホさん。
地味は地味なりの青春というものを一度は描きたいと思っていたそうです。
舞台は東北の片田舎にある高校。
ちょっとした進学校でもある。
はじめはこれが現在小説だとはわかりませんでした。
登場人物たちがあまりにも素朴で、時代に左右されていなくて・・・。
でもたしかに“田舎の高校生”なんてこんなもんなんですよねぇ。
かつて田舎の地味な高校生だった私にも痛いほどわかりました。
地味は地味なりに、青春はかけがえのないもの。
そのキラキラしたした時代の良さと瑞々しさを思い出し、
少しだけ甘酸っぱい気持ちに浸りました。
描写や登場人物の会話の中に「著者の若さ」がすごく出てます。
そのへんも微笑ましい。
今度に期待したい作家です。
スウィングガールズ [Blu-ray]
柳の下にはもう一匹どぜうがいた。ウオーターボーイの後はスイングガールと来たぜ。
これは脚本や監督の演出、役者の活躍をうんぬんする以前にやはり企画の勝利というべきだろう。
はじめは全然やる気のなかった高校三年生がひょんなことから楽器の魅力に取りつかれ、ジャズのビッグバンド演奏に夢中になっていく。今回の選手は楽譜も読めないのにまたしてもコーチに祭り上げられてしまうも面白い役どころ。
ラストの東北大音楽祭での演奏はなかなか見せる。この個人プレイ満載のど派手なパフォーマンスが少女ジャズバンド人気に火をつけたことはよく分かるが、通常の吹奏楽の演奏もなかなかに奥が深い事を忘れては困ります。
坊さんの読経に応えアブラ鳴く13日は盆の入りなり 蝶人
夏が僕を抱く (祥伝社文庫)
どちらかというと、男女のどろどろした関係を描かれている本が好きなのですが、たまたまこちらの本を手に取りました。
繊細な感情表現、もどかしさに思わずリンクしてしまい、何とも言えない切なさで本当に胸きゅんです。
一話一話にその度リンクしてしまい、著者の他の本も読みたくなりました。
エバーグリーン (双葉文庫)
田舎の中学校に通うミュージシャンを夢みるシンと漫画家を夢みるアヤコの切なくもキラキラ光るようにきれいな物語だ。
2人は恋人未満友達以上の関係で卒業式をむかえる。そこで「十年後の今日、三月十四日、ここっ」でお互いに夢を叶えてまた会うことを約束する。 そして十年がたち、約束の日の二ヶ月前から物語は進展し始める。
あの頃あんなに輝いていた夢と残酷な現実。
夢と現実を抱えて暮らす二人の心に浮かぶもの…
そして新しい出会いと決意。
このすべてが透明感のある文章と切ない、それでもきれいなストーリーで表され、読んでいてとても癒されました。ありがちな少女漫画みたいなストーリーだと思うかも知れませんが、ストーリー展開や人間関係、特にラストのシーンはただのハッピーエンドではありません。作者さんはほんとに『すげー』人だとおもいます。そしてこの本に出会えてよかった。
あの日、アヤコと別れた後に感じた、風で翼がふくらむ感触のようなものを、今も思い出せる。憶えたまま、すべて持っていくのだ。
(本文より)
みなさん是非読んでみてはどうでしょうか。
スウィングガールズ プレミアム・エディション [DVD]
作品自体のレビューはされつくしているし映画自体は私も5つ☆。時が経過した今こそ冷静なレビューができると思い書きました。何と言う神のいたずらか2003-04海外にいた私にはこの作品があることが分からなかった。2005年3月、ある雑誌の表紙に惹かれて読むと、『スウィングガールズ』に出演の話と解説が書かれていました。これが全ての始まり。すぐにAmazon.co.jpで予約して入手。今となっては幸運と思います。
プレミアムDVDの外箱から3枚のディスクを取り出すと製作者の作品に対する思いの強さが分かった。全く知らない状態からこのプレミアムDVDを見たら驚くだろう。贅沢すぎる。おまけにねずみのマスコットまで付属しているし。
・・・それから3ヶ月、再上映も観にゆき、DVDは100回以上観ています。演奏に感動するのは勿論のこと、出演者の個性が生かされているのが素晴らしい。矢口監督同様、待ち時間に自然に始まった演奏の輪に入りたい、スクリーンの中に溶け込みたい作品です。ドキュメントタッチのメイキングも、海外での演奏の映像も、Jazzの解説や、ヘタウマな編曲、楽しくて可笑しいオーディオコメンタリーと充実。
1つ惜しいのは英語吹き替えは無しでもリージョンフリーにして欲しかった。
何故か私の所に海外から発売予定の問い合わせが入ります(笑)