任侠秘録 人間狩り [DVD]
杉作J太郎のことは前から彼が描くマンガや文章で好きだった。
それだけに杉Jがはじめて映画監督をした「人間狩り」と「怪奇!!幽霊スナック殴りこみ!」を見るとき期待と不安が入り混じった複雑な気持ちで見はじめた。
そして見終わった後、僕は映画監督杉作J太郎のファンになった。
勝手な推論でだが、おそらく杉Jはこの映画で、大ファンだと公言している東映やくざ映画に対するオマージュで作ったと思う。しかし、この映画の凄いところは映画マニアの作ったオマージュ映画としては終わってなく、ちゃ〜と杉J監督のこだわりが細かいところに反映されているのだ。
物語はネタバレになるの細かい説明は省くが、杉Jのすきそうな、もてない男たちの美学や、やせ我慢などを杉Jならではのペーソスとユーモア溢れる作風で描きながらも、虐げられた男たちの怒りが爆発する暴力描写になると一転、ハードな映像を観る者にたたきつける。これには驚いた。音楽も良かった。マカロニウェスタンや70年代のアクション映画のサントラを思わせる、もの哀しげでカッコいいテーマ曲が凄くいい感じ。元気のない時に見るといいかも。
怪奇!!幽霊スナック殴り込み! [DVD]
出演者の顔ぶれは豪華。ただ決してそれに頼った映画ではない。オカルト任侠映画とでも呼べばいいのだろうか?観始めてからしばらくはもたもたした演出に苛立つかも知れないが、段々と映画のペースに慣れ出すと面白くなって来る。主演のタナダユキはぶっきらぼうな感じだが、可愛らしく撮れている。後半は爆笑シーンの連続で、シュールなギャグに腹がよじれそうになった。「タモリ倶楽部」繋がりの出演者も多いので、そちらのファンの方がご覧になっても楽しめるのではないだろうか?退屈なハリウッド映画を観るなら、迷わずこちらを手に取ろう!
応答せよ巨大ロボット、ジェノバ
著者の杉作J太郎が近年傾倒するアニメ作品から影響を受けまくりつつ、しっかりとオリジナリティを注入した小説。
SFとしては珍しく自伝的要素が多く、杉作ファンならニヤリとする場面も多々あります。
そして、中年ならでは哀愁がこれでもかっていうくらい襲って来ます。
ひとことで言うと「せつない」。
☆を満点からひとつマイナスとしたのは、
杉作氏の漫画作品、例えば『ヤボテンとマシュマロ』などと
比較したら、まだそこまでの完成度、余韻は味わえなかったということ。
小説に限らず、次なる展開に期待。
杉作J太郎が考えたこと
J太郎さんの、約10年に渡っての連載を記録したものです。
お金が無い中で映画を撮り始めたり、パチンコ(エヴァ)やアニメにハマったり、
鬱になってしまったり、その生活や心情が赤裸々に綴られているのですが、
あくまで笑いベースで表現されているのが、素晴らしい。センスありすぎです。
また、好きなことをして生きていくとはどういうことか、
その選択の辛い面も含め書いてあることで、逆にリアルな元気を出してくれます。
何より読み終わった後、「この人の人生、うらやましいなあ」という感想には
100%なれないとこが、とても信用できる(笑)。
「しょうがない兄貴」として、一部分は尊敬しておこうというか(笑)。
でも、「ちょうどいい具合の正義」のような顔をしたもの(自分もこの一派だな)が、
大手を振りまくって、却って息が詰まりそうな最近、
いい具合に頭をシェイクしてくれたと思えます。
うん、日本の男全てが読んでほしい(笑)。