ココダ 遙かなる戦いの道―ニューギニア南海支隊・世界最強の抵抗
---そして絶筆となった1月10日のページには、「敵から奪った肉を食う。敵兵、わが陣地に侵入」と書かれていた。--(中略) そして、誰が始めたというわけでもなく、自然と人肉食が行われるようになった。※429ページ (第15章脱出より)---
こんなすさまじい文章をよみながら、僕はとある南洋の国のリゾートホテルにいた。プールサイドには、リクライニングチェアーに横たわる僕と、アメリカ人とおぼしき家族連れ、老夫婦が思い思いに余暇を楽しんでいる。燦燦と降り注ぐ太陽の下、プールで水浴びを楽しむ子供たち。カウンターにはマンゴ、パパイヤ、パイナップル、などのフルーツが並び、いささか露出度が高いビキニを着た女性たちが、そのマンゴをほおばっている。。
70年前、この島でも激戦が繰り広げられ、ココダのような死闘が展開されていたはずである。
---- 山本大佐が「死ぬ前に、もう一度パパイヤが食べてみたいですね。」と軽い口調で応じる。「そうですな、あの肉の厚い、冷蔵庫で冷えたやつをですな。うまいですよ。」と、かたわらの山本清軍医長が答えた。※420ページ(第14章ブナ陥落より)--
読み進めながら、僕はしばし現実感を失った。ココダの兵士たちの生々しい肉声が強烈なリアルティーを放ち、文字という媒体をとおして脳を侵食していくようだった。
プールサイドのこの風景は本物なのか、あるいはココダの兵士が死に際に描いた来世のイメージなのか。
500ページもある本書には、忘れさられようとしている英霊たち叫びが詰まっている。読者の脳を通して、成仏しようとしているのかもしれない。
この数インチ四方のタイムカプセルはパンドラの箱なのか。過去にあったこの事実を現代に生きる我々は知る義務がある。日本人という枠を超えて、国家を超えて、人間として。
Best of
「Jade」以降、新作を全く発表していないCoreyが、突然ベスト版を発売した。中身はかつての大ヒットや代表曲をひとつに纏めた感じ、ベスト版としてもベーシックな構成だ。Coreyの雰囲気を感じたい向きにはお薦めしたい。
彼の歌には魂の込められた力があり、どこか哀愁を帯びた切ない歌声と共に、聴く者の心に入り込んでくる。
最近はファミリーとの時間に比重を移し、ミュージックシーンからは遠ざかっている感のあるCoreyだが、ベスト版発売を契機にまた新作を携えて戻ってきて欲しい。
コリー・ハート
'96年にリリースされた8枚目のアルバム。
'88年にリリースされた「Young Man Running」以来の本国カナダでプラチナム・アルバムを獲得するヒット(38位)を記録。
'90年の「Bang!」のカナダ24位、全米134位からの復活作品です。
1. Black Cloud Rain(カナダ2位)
2. Someone(カナダ36位)
3. Love Hurts(ロイ・オービソン、ナザレスで有名なカヴァー曲)
4. Third Of June(カナダ17位)
5. Simplicity
6. Tell Me(カナダ14位)
7. Angel Of My Soul
8. Sunflowers
9. Kiss The Sky
10. On Your Own
11. India
12. Third Of June (Boomtang Remix) (Bonus Track)
久しぶりに4枚のシングルが本国でヒットを記録。
'80年代中ごろのワールド・ワイドの楽曲とは言わないが、バラード調でとても気持ちが良い曲が並んでいる。
変わらない歌声で魅了してくれて、オッ!結構イイねぇ〜と思わせてくれたアルバムです。
災害救助犬ものがたり-がれきの中のレスキュードッグたち
自分の犬と今まで以上の一体感をえるための方法として一緒に救助の現場に立って見たい、と思う人は多いと思います。そんな方に是非読んでいただきたいと思います。言い様のない充実感がそこにはありますが、それ以上に過酷な訓練(犬にも人にも)や、費用や危険リスクの持ち出し、無意味な時間の拘束等、現実的な部分も見えてきます。米国の本ですが、日本でも本質は変わらないのではと思いますので、そういったところも是非。