原爆体験を綴った作品ということでおどろおどろしいものという先入観があったが、文章がことのほか詩的なので驚いた。
  言葉の用法が的確で揺るぎがなく、全く振れがない。ジグソーパズルの全てのピースがパチンとはまった感じで、一枚の地獄絵が出来上がっているような完成度である。
  原民喜氏が詩人であったということが作品に抑制された詩的なリズムを与え、読者を作品世界に引き込んでいく求心力を与えているのであろう。一字たりとも無駄な言葉がない。緊密に結びついた言葉で書かれた作品群である。
  『夏の花』 まさに原爆投下時の様子と厠にいて助かった作者の悪夢の記録。
  『廃墟から』 被爆後の作者と周辺の人々の描写。
  『壊滅の序曲』 8月6日以前の作者の実家の縫製工場の戦時下の話。広島は危険だと騒ぎながら疎開しなかったところにあの悲劇が降りかかる。
  『小さな村』 広島から20キロ離れた農村での生活。
  『昔の店』 幸福だった少年時代の記憶と迫り来る戦争への不安。少年時代に竣工した物産陳列館(原爆ドーム)の記述が興味をそそる。
  『氷花』 東京に転出して母校に教職を求めたり文学に活路を見出そうと模索する作者の苦悩。
  わずか200頁の本だが、重く心に響く、20世紀の偉大な記録である。
 
  
 
「夏の花」のほかに、いくつかの短編もマンガ化されて収録。
 淡く優しい画調で、原民喜の作品の雰囲気は伝わってくるし、
 どんな内容なのか知りたいだけなら、十分役割を果たしていると思う。
 
 悲惨さよりも、無力感や悲しみが強く伝わるようなマンガに仕上がっている。
 原民喜「これを書き残さなければ」と決意した光景の描写が、
 いささか物足りないのだが、
 劇画調のインパクトのあるマンガにされても原作から離れてしまいそうなので、
 これはこれでいいのかな、と思う。
 
 また
 戦時下の人々の暮らしは、文章よりもマンガや映像のほうが伝わるのかな、
 という気がした。
 
 
 
  
 
広島での原爆の話です(作者の体験)。描写がリアルで、ありのままを忠実に表現していると言えると思います。原爆の話は多くありますが、「夏の花」はその時の人々の様子をよく表わしています。おしつけがましい意見は書かれていないので、読む人それぞれに、いろんな感じ方があるでしょう。題材的にちょっと難い話かもしれませんが、表現は単調で、スラスラ読めるものです。老若男女問わず、ぜひ一度は読んでみてください。
 
  
 
「夏の花」のほかに、いくつかの短編もマンガ化されて収録。
 淡く優しい画調で、原民喜の作品の雰囲気は伝わってくるし、
 どんな内容なのか知りたいだけなら、十分役割を果たしていると思う。
 
 悲惨さよりも、無力感や悲しみが強く伝わるようなマンガに仕上がっている。
 原民喜「これを書き残さなければ」と決意した光景の描写が、
 いささか物足りないのだが、
 劇画調のインパクトのあるマンガにされても原作から離れてしまいそうなので、
 これはこれでいいのかな、と思う。
 
 また
 戦時下の人々の暮らしは、文章よりもマンガや映像のほうが伝わるのかな、
 という気がした。
 
 
 
  
 
私は高校時代(今は41歳)に「水ヲ下サイ」を歌ったことがあり、長い間「水ヲ下サイ」「日ノ暮レチカク」「夜」の3曲だったので(同じ東京混声合唱団の演奏のCDも持っている)、4曲目の「永遠のみどり」が出来上がり、感無量で、聴きました。
 
  
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