レビューがないのにびっくりしました。 私自身、今まで読んだことがなかったので、知らずにいたことが悔しいです。
警察小説はよく読みますが、検事の立場で事件を見るというのは新鮮でした。 シリーズになっていて、「宿命」では沢木検事の奥様が殺された事件に繋がって いるので、順番に読んで頂いた方がいいです。
最後、何奥様や、事件の容疑者が守ろうとしていたものを知ったとき、不覚にも 泣いてしまいました。 人の暗い部分に触れることになりますが、同時に暖かさも感じました。 衝撃のラストですが沢木検事には奥様のためにも幸せになってほしいです。
このシリーズは発売と同時に読みかけの本があっても最優先で購入し読んでおります。 現代社会の世相が実に巧妙に違和感無く時代小説の中に織り込まれており、 作者の時代小説に対する物語の構成技法や江戸時代の地理、風俗、習慣等の描写に敬服します。 江戸の町の地理や市井で暮らす人々の悲哀やささやかな幸せや喜びが見えるような錯覚を覚えます。
「秋雷」は今までのシリーズとはちょっと異なった趣を感じます。 剣の遣い手であり切れ者の敏腕与力である主人公「青柳剣一郎」が、 本編では剣を遣う場面がありません。 一人の不幸な女に惹かれる普通の男であり、良妻賢母である美しい妻を愛する夫であり、 娘の縁談にはらはらどきどきと動揺し、息子夫婦を思い遣る優しい父親である彼の人としての役割が、 全編にわたってそこかしこに描かれてはいますが、本編の事件の展開や過去の事件と巧妙に絡んでおり、 逆に「あー、そんな事件もあったな。」と思い出しながら読むのも楽しいと思いました。 今回の事件の解決は2人の同心が活躍します。 興味がお有りの方は是非1巻目からお読みになることをお奨めします。
小杉氏の作品の中では、本シリーズが最も気楽に読めると感じていた。
主人公の佐吉が甘ったれだとか、ちょっとした出来事で落ち込んだり
良い気になったりという気分の浮き沈みが平気で語られるといった表現方法から、
そう感じていたのだった。
しかし、本書での佐吉は、意外と我慢できる様に成長しつつあると読めた。
「ちょっと大人になったね」と声かけをしたいくらいである。
物足らなかったのは、平吉の活躍が少なかったことか。
最後のどんでん返しの伏線としては、冴えなかった様に感ぜられた。
本書のどんでん返しの内容と描写に苦笑を禁じ得なかったけれども、
ナルシストな男子が一人前の男に成長していく物語として、
読み易く微笑ましいシリーズではないか。
good気に入っていてマス。気に入っていてマス。気に入っていてマス。
朱雀太郎と名乗る凶悪な盗賊団が大店を襲い殺人、火付けを繰り返します。 奉行所と火盗改の必死の探索を尻目に盗賊は次々に犯行を重ねます。 朱雀秀太郎と名乗った今は引退し床に臥せっている盗賊の親分は、 朱雀太郎なる盗賊団を探らせるために右腕の七兵衛を江戸へ向かわせます。
一方、一向に解決しない凶悪事件に業を煮やした幕閣は、青柳剣一郎に挑戦的な旗本を新たに火盗改に任命。 奉行所、二つの火盗改、朱雀秀太郎の右腕七兵衛が朱雀太郎一味を追います。 功を焦る火盗改と町方の面目を賭けての探索は二点三点し盗賊団の姿をなかなか絞ることが出来ません。
一味の一人である御家人を捕えた火盗改は拷問と弱味に着け込み自白を迫りますが上手く進みません。 しかし、青柳剣一郎はその御家人の優しい心を大切にすることで自供を引出します。 青柳剣一郎の人を大切にしながらの丁寧な探索がやがて盗賊一味を追い詰めて行きます。 敏腕与力も相変わらず娘「るい」の縁談に、おどおどしながら市井を歩いております。
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