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 僕は97年フォーライフ盤(FLCP-1005)で本作品を聴きました。こちらは日本用ボーナストラックが3曲で「Swat & Rut」という曲が入ってる2枚組です。解説によるとボーナストラック3曲は本作品のために録音されたものの収録時間の都合でボツになった曲だそうですが、個人的にはこの「Swat & Rut」という曲は余り好きじゃないので、余程のイーノ・マニア以外は聞かなくてもいいんじゃないかと思います(笑)。
 全体的な音の方はというと、本作品制作時より数年前の例で恐縮ですが、YMO「テクノドン」や立花ハジメ「BAMBI」に近い聴き応えの曲が多いんですよね。だからこの辺の作品が好きな人は本盤もアリだろうし、ダメな人は他のイーノ作品と比べると「あれ?」という印象を持つでしょう。少なくとも他のアンビエント作品の静逸さは薄い作品で、チープなシンセがプリプリ鳴ってる小品が沢山入ってます。
 
 この頃を振り返ると、クラブ・ミュージックの進化がまだ一応続いていて、彼らのようなオリジネイター達の音もハウスの進化過程と関連して文脈化されていた時期です。ところが、実際彼ら自身は「ハウスの空爆に耐えて」(by立花ハジメ)音を作っていたような側面が強くて、共通して「踊るための音楽」から距離を取った作品を発表していました。本作品はイーノがわざわざ日本のマイナー・レーベル(フォーライフ)と契約して発表した作品ですが、同じ時期に色んな仕事を他レーベルでやりながら、こういうベクトルの音を日本のレーベルから出していたということ自体、何か彼の中で必然的なものがあったのではないかと僕は夢想してます。
 
 
   
キング・クリムゾンのリーダーでありギタリストのロバート・フリップと
 元ロキシー・ミュージック、
 アンビエントの始祖、
 ノー・ニューヨークの仕掛け人
 ブライアン・イーノとのコラボ・ユニット。
 1975年のEvening Star以来30年ぶりとなる二人の共演である。
 「赤道の星」と名付けられた本作。 驚くほど肩の力の入っていないそれでいて素晴らしく美しい作品だ。
 実験的な試みを繰り返してきた二人がそのプレイの質で描き出す
 壮大なサウンド・スケープ。
 ナイーブかつクリア、伸びやかななトーンをつま弾く
 フリップのギター。
 静寂からやってくる
 イーノが操るアンビエントなエレメンツ。
 それらが高次元で出偶い
 壮大な天球に光を放つ。
 その光は1等星や2等星だけではなく3等星から5等星まであり
 ほのかに光りつつ揺らぎ
 天空のハーモニーを奏でる。
 まるで闇の中で天球の中間に位置し
 その光の一つひとつを愛でるかのようだ。
 そのスピリチュアルなアプローチは天を抜け、
 神話の世界に
 繋がっているような想いがする。
 
 
   
元々、JakkoとMelの共作アルバムとして始まったはずなので、ソングライター・Jakkoとプレイヤー・Melが目立つ。他のメンバーのプレイも悪くない。20年来のJakkoとGavinのファンなので、この2人がKing Crimsonに関わるのは、ある種妄想の実現なので悪いわけがない。それでも、Sylvian/Frippのような所謂クリムゾン・リフにのったJakkoのボーカルも聞きたかった。 来日ライヴなんてあるのだろうか?
 
 
   
歴史的名盤の待ちに待った再発、ファンならずとも一家に一枚。と思うのですが、如何せん、この国内版はリミックス違いの二枚組。
 マニアには面白い内容だと思いますが、とりあえず、”一家に一枚”の方は輸入版の一枚ものが良いかも。ジャケットも二枚別々で、『それなら別々に売れよ!』という感じです。個人的には星10個くらい付けたい内容ですが、ファンでない方には相当不親切だと思い、星4つです。
 
 
   
1980年に国内盤が発売された当時のライナーノーツはムーンライダースの鈴木慶一氏が担当していたが、「演歌的ねちっこさに満ちている」というコメントが大変印象的であった。「クリスタル・ジャパン」、日本の酒造メーカーのCM出演などもあり、この作品のレコーディング前後にボウイーはプライベートも兼ねて何度か訪日している。おそらくその時に耳にした日本の演歌歌手の歌唱を、この作品の特にB面に取り入れていると言っていい。それが奏功した顕著な例がD6の「ティーンエイジ・ワイルドライフ」である。
ボウイーファンの間では名曲「ヒーローズ」と並び称される傑作であるが、世間的には過小評価されているきらいがある。それはこのアルバムのA面があまりにも素晴らしく充実しており、B面が過小評価されていた(LP時代は特に)ことが理由のひとつとして挙げられる。有名なボウイー・フォロワーの一人である元スウェードのブレッド・アンダーソンなどは、実際にこのアルバムのA面までがボウイーの傑作群であり、B面以降は駄作(『レッツ・ダンス』等も含んで)であると以前インタビューでコメントしていた。
 しかし、このような理由がありながらも、この曲はベスト盤には取り上げられないベスト・トラックとして、必聴の価値がある。このアルバムからシングルカットされたA面の名曲群はベスト盤に収録される機会が多いが、この1曲のためだけにでもこのアルバムを手にする価値があると断言できる。
 ロバート・フィリップのギターパートは「ヒーローズ」以上に素晴らしく魅力的で、坦々とした曲調から段々ドラマティックな展開をしていき、ボウイーのボーカルも曲の展開に合わせて断末魔の如くテンションが上がっていく。ボウイーの全曲中で、この曲のギターソロが最も効果的に発揮されていると言ってよく、ボウイーのボーカルはベストのひとつである。
 また、ギターシンセを何重にもオーバーダビングして摩訶不思議な音を出してるD4、ボウイーの声がエフェクター処理された疾走感溢れるD3、度肝を抜かされるD1など、聴き応えのある曲が目白押しである。
 
 
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