崩れる 結婚にまつわる八つの風景 (角川文庫)
女性の視点もさることながら、男性の視点もこれまたリアルに描かれている。
これ程、夫婦間のどろどろな嫌悪感をリアルに描いてものはあまり無いのではないだろうか。
未婚者は特に読むべし!!
スタンディングオベーションしたくなるような傑作!
慟哭 (創元推理文庫)
文章はデビュー作とは思えない。安心して読めます。一読の価値アリです。しかし、ラストの意外さで本書をPRするあまり、真犯人の意外さが薄れている。出版社もそのあたり気をつけて欲しい。また、ラストの後味の悪さが余韻を残すのかもしれないが、個人的に最後は刑事さんに「はい」と言って欲しかった。たとえ、その過程が本書内で明らかにされないとしても。
空白の叫び〈中〉 (文春文庫)
【上】で、殺人犯になった3人。
これまでまったく接点のなかった3人が、少年院で出会う。
ただし、出会ったからといって、大親友に発展するのではなく、
やはりそれぞれの視点で、少年院での生活や人間関係や生きていく術を体得していく。
(逮捕や裁判なんかないのがスピード感があってよかった)
少年院は、刑務所と異なり、罪を償うのではなく、反省や更正をするところ。
ごめんなさい、もうしません…それだけ?
被害者や遺族にとって、それってどうなんでしょうか。
確かに、子供だから、力の加減や我慢をすることが分からず、
「誤って」殺したり、盗んだりするかもしれません。
けど、この3人、被害者を思い切り憎んでいましたが??
それでも、更正??
アメリカでは、犯罪の内容によっては実名報道されるし、
大人と同じように裁かれるし、同じように服役する。
親元から追い出された神原君と葛城君、いまだ同居する久藤君。
水島君の「銀行強盗」がかなり気になりつつ、【下】に続きます。
乱反射 (朝日文庫)
貫井さんはミステリー作家というイメージがあったけど、
この本はミステリーではなく、様々な人間模様の積み重ねを
描いている。
自分のことしか考えない人間ばかり出てきて、読みながら
イライラしてストレスが溜まり途中読むのが嫌になった。
でも、事件が起きてから被害者の父親が、真実を知りたいという
気持ちで間接的に事故に関わった人々と話をしていく過程は
面白く一気に読んだ。
もし、被害者の父親が自分勝手な人々を何らかの手段で、懲らしめたり裁いたりできれば、
前半感じたストレスは解消できすっきりするんだろうけど、現実問題、法を犯した人は裁けるけど、モラルを守らない人を裁くことはできない。
自分自身も気付かない所で、殺人までとはいかなくとも、
直接的にあるいは間接的に人を傷つけていることってたくさんあるんだろう。
今の世のを生きる様々な世代の人に読んでもらいたいと感じた。
本屋大賞候補の一つになれば嬉しいと思った作品。