さらば愛しき女よ (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-2))
読んでいて大変勉強になった。読後感は二点である。
一点目。村上春樹は気のきいた喩えやセリフで有名であるが、その先生はチャンドラーであることが
今回良く分かった。実際に本書を読んでいると、チャンドラーのセンスの冴えにはいささか驚かされた。
村上はチャンドラーを「文章で戦える人」だとどこかで評していた記憶があるが、その意味が今回良く
分かった。かつ文章やセリフのセンスという点では、チャンドラーは村上を凌駕していることも強く
感じた。先生である以上、生徒には負けられないとでも言うべきか。
二点目。チャンドラーに欠けているものも本書から見えてくる思いがした。
本書には鮮やかな脇役が出てくる点は村上も指摘している。但しきらりと光る登場人物が有っても
背景が書きこまれない重要人物も多い。特にムースマロイに関しては、彼の「哀しみ」にもう少し彫の
深さが有ったら本書はがらりと変わったはずだ。Farewell,My Lovelyと言っているのはマロイだと理解
した僕としては、そのFarewellという言葉の重さをもう少し感じたいと思った次第である。
「一流の文学」という言い方は好きではない。しかし敢えて使うとしたら、チャンドラーは「一流の
文学」という範疇には入らないかもしれない。但し、村上が何故チャンドラーを今再発見させているのか
を想像することは楽しい。勿論、村上がチャンドラーを偏愛しているからであろうが、では何故村上
がチャンドラーを偏愛しているのかである。僕としては、それは上記の通り「文章で戦う」という
点で村上はチャンドラーに強く共感したからだと思う。
実際、優れた文章とは、含まれているコンテンツだけではなく、表現形態としての「文章」に因る
部分は非常に大きい。これは文学だけではなく、例えば業務上の報告書でも同様だ。僕自身、例えば
出張報告といった無味乾燥な文章にも妙にこだわりがある。それは非常に稚拙なレベルとはいえ、村上
の「共感」に共感しているからかもしれない。
アフター0―著者再編集版 (3) (ビッグコミックスオーサーズ・セレクション)
岡崎二郎の待望の再出版、「アフター0(ゼロ)」著者再編集版!
今回発刊された3巻と4巻は、「大いなる眠り子」シリーズが収められています。
ちょっとしたことから、父の魂が、生まれたばかりの自分の子供に同居することになったスーパー赤ちゃん あきおくん の活躍。その始まりから終わりまでがこの2巻に。
いままで、絶版で読めなかったこの話も、より読みやすくなって再登場!
また、3巻には単行本初収録「不思議なじいさま」が収められてます。
R.シュトラウス:作品集
~ タイトル通りシュトラウスの作品集です。1世のラデッキー行進曲や、常動曲が入ってないのは残念でしたが、序曲はじめ「こうもり」・皇帝円舞曲や美しき青きドナウなど有名曲満載で、楽しく聞けると思います。
クラシックに対して深い見識をお持ちの方々はこういったベスト版みたいなものは評価しないかもしれませんが、普通のクラシックファンがシュトラ~~ウスでも聴こうかなという時にはいいと思います。~
三つ数えろ 特別版 [DVD]
世界最大の映画投票サイト インターネット・ムービー・データベース(IMDb)top 250に常駐している名作映画
映画のどのシーンもスチール写真としてポスターにできるってくらいカッコイイ。
一般的なハードボイルドってこの映画が源流なのでは?と思わせるほど。
映画007シリーズのかっこ良さ、女性に対する態度や発言なども
この映画を参考にしているんじゃないかと個人的には思った。
当時の、時代背景というか様式美なのだろうけど
主人公がらみの殴り合いなどが、やけにあっさりしていて現代感覚だと
ちょっと驚く。殴ると簡単に伸びてしまうし、主人公も簡単にやられてしまう。
肉体的に強いといった印象があまりない。探偵事務所の壁にボクサー姿の写真が
飾ってあったので、「かつてボクシングしてました」といった解説なのかもしれませんが
あまり肉体的に強いように描かれてない気がしました。その分、クールなヒーロー像として
強くアピールしているのかもしれません。
このDVDでは、共演するヒロインのバコールがどのように追加編集され
魅力的に描き直されたかが語られてて面白い。
当時、大根役者と評価され売り出し中の女優としては岐路に立っていたバコールが
この作品で評価を得たのは、撮り終わったあと再編集された
1946年版で公開されたことが大きいようですね。
長いお別れ (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-1))
50年前の小説で主人公の名前は英語の辞書にも出てくる有名な推理小説です。
ふとしたきっかけで知り合った私立探偵マルローとレノックスは、親密ではないが、なんとなく友情を深めていきます。マルローはレノックスが、いつか大きなトラブルに巻き込まれるのではないかと気にかかるのですが、レノックスは妻殺しの容疑をかけられ、マルローは逃亡を手助けします。
ストーリーは次々と意外な展開をしていき、最後の6ページで予想外の真実が明らかにされます。
英語は若干読みづらいように思いましたが、本格的な推理小説で、読んで損はしないと思います。