サンキュー先生 初回限定BOX [DVD]
子どもたちの成長と、石松鈍器(西田敏行)の成長とを同時進行させた物語。
ブルートレインが好きだったり、馬乗りで遊んだり、古き良き時代の子どもたちに出会える。教育モノとしては期限切れ、とは見ないで「子どもが子どもでいられた時代」の追憶として見たい。
鈍器に対する子どもたちの献身的な愛情にはきっとほだされる。
迷える高校生と教師のためのこんなふうになりたいな。
この本を読んでいると、いい感じに力が抜けて、温かい気持ちになれて、そして考えさせられます。心に残るフレーズが散りばめられていて、「明日もちょっとだけ頑張ってみようかな」という気持ちになります。「こんなふうになりたいな」シリーズ第2弾ですが、第1弾の現役ダメ高校教師のこんなふうになりたいな。を読んでいない人は、ぜひこちらもお薦めします。自分が高校生の時に、こんな先生に出会いたかった!
サンキュー先生 VOL.1 [DVD]
私、WEBで”おもらし官能小説”サイトを運営している者です。
当然、昔からこのドラマは非常に強く印象に残っており、地元放送局にも放映の打診を何回もかけたほどです。
それがVHS、DVDとして復活し、喜ばしい限りです。何がすごいというと、やはり「おもらし」という事象をスカトロジーという変態領域から、偶然的失敗によるいじめ/虐待などの社会問題として捉えた点でしょう。その場面に限らず、全体として役者の演技もすばらしく、内容もしっかりとしています。自信を持って推薦します。全巻買っても満足いただけると思います。
先生のあさがお
きめ細やかな文章表現が奏でる幾つもの人間ドラマの風景。生と死、自身が体験した神経衰弱の狭間での不安と葛藤の日々の生々しい記述。だがそれは威圧的ではない。作者が紡ぎ出す言葉は静かにしっとりと体内に浸透し、清々しい気分を与える。作者の不安と葛藤、読者の安堵感・心地良さという鮮烈なコントラストに包まれる。最新の3つの作品が所収された本書は作者の「生き様」を読者に向けてというよりは自らに語りかけている印象だ。読者はその声にそっと耳を傾け、すーっと読者の気持ちを軽快にしてくれる。
全編に貫き流れるのは夫婦の何気ない日常でのやり取りだが、それが意外と新鮮だ。どこにでもある夫婦の形なのだろう。しかしそれこそが大事なのであり、作者の妻の時折みせる軽快なツッコミもなかなか頼もしい。人間の心理と情景描写の色彩もまこと見事である。2つ目の作品にはこんな文章が登場して私ははっとした。「書くことによって近づきたかったのは、猥雑でうっとうしい現実を突き抜けたところにあって言語化を拒む普遍なるものだけだったのではないか」(78頁)。まこと意味深だ。
半分近い分量を占める表題作「先生のあさがお」も素晴らしい。結局のところ、作者にとって「先生」とはいかなる存在だったのだろうか。先生のあさがおの種を撒き育てることで、追憶のなかの先生に何を感じたのだろう。「じぶんの人生をどんな感じでとらえていたのかをこちらの基準でたずねてみたかったんだ。そこに生まれるはずの齟齬をきっかけにして、この身の立ち位置を知りたかっただけなんだ」(167頁)。身勝手な行為じゃない、心の重心が作者には必要だっただけだ。作者の妻がファンだというある有名な教授は、「人間とは他者のなかにじぶんを見いだそうとする動物だと思います」と述べている。「他者」は自然でも山でもいいらしい。なるほど。自然のなかで暮らす一組の夫婦の物語に心を洗われた心境である。