ユニオン・ツアー1991【初回限定盤 紙ジャケット仕様】
2011年1月6日リリース。録音は1991年11月22日、デンバーのMcNicholas Sports Arena showで収録。ファンのかたは当然ご存知だと思うが、DVDも出ていて、このDVDもスタンダード版と『Limited Edition 1-DVD / 2-CD / 1-Bonus-DVD』というバージョンがある。この『Limited Edition 1-DVD / 2-CD / 1-Bonus-DVD』のボーナスでない方のDVDが完全収録といえるもので、以下の曲が収録されている。
・Firebird Suite
・Yours Is No Disgrace
・Rhythm of Love
・City of Love
・Heart of the Sunrise
・Leaves of Green
・Concerto in D/Clap
・Make It Easy/Owner of a Lonely Heart
・And You And I
・Drum Duet
・Hold On
・Shock to the System
・Solly's Beard
・Changes
・Take the Water to the Mountain
・Soon
・Long Distance Runaround
・Whitefish
・Amazing Grace
・Lift Me Up
・Rick Wakeman solo
・Awaken
・Roundabout
・Starship Trooper
スタンダード版のDVDはCDの内容と同一で全部で13曲が入っている。他のレビューアの方も書かれているが、13曲に絞った意味が不明である。完全版のDVDと同じ内容にすればよかったのではないだろうか、とやはりファンは思うだろう。
ジョン・アンダーソンとリック・ウェイクマンというイエスには欠かせないメンバーが入ったライヴで曲の内容も広範囲に及んでいて非常に満足できる内容である。音質も非常に良い。それだけに何故完全版で出さないのか、という疑問が深まってしまう。そこだけが不思議なアルバムだ。
ユニオン・ツアー1991 [DVD]
1991年;カリフォルニアでのライブです。 オープニングが、ストラビンスキーの「火の鳥」で、全盛期のYESを思い出させます。歴代のメンバー8人が一堂に会して行なわれたライブです。
ジョン・アンダーソン
クリス・スクワイヤー
スティーブ・ハウ
ビル・ブラッフォード
リック・ウェイクマン
トレバー・ラビン
アラン・ホワイト
トニー・ケイ
映像から、当然と思うが、メンバーの楽しそうな表情もあれば、複雑な表情が感じられます。互いにライバルであり、競争心もあるでしょう。(ビルブラッフォードはあまり嬉しそうでない感じ?)しかし、互いに負けられないというか、プロというか、結果としてすばらしいサウンドが聴けます。「燃える朝焼け」「ラウンドアバウト」「ロンリー・ハート」は最高に興味深く聴き応えありです。
Back Against THE WALL ~PINK FLOYD Tribute Album~
オリジナルのTHE WALLは、ギター、ベース、ドラム、ヴォーカル以外の様々な要素(オペラ、クラシック等)がミックスされ、完成度の高いアルバムをつくりあげています。
非常に解りやすく言いますが、ギター、ベース、ドラム、ヴォーカルのみで元々創られている曲は、非常に聴き応えがあり、オリジナルより思わず「うお!?」っと固まってしまうほどのクオリティを感じさせます。Disk1、4. The Happiest Days Of Our Lives 、Disk2.6. Comfortably Numb 9. Run Like Hell 等・・・
ですが、それ以外のオペラ、クラシックを意識した楽曲群は、正直「こうなっちまったか・・・」みたいな感想を禁じ得ません。(やはり予算の関係でしょうか・・・・、ブラス、ストリングス、ピアノ、コーラスの部分が、ものすごく脆弱で無機質で、「うーん?」って感じです。)
ですがこんな大作を、(元々ここまで偏執狂的なつくりの作品)を1から10まで再現しようという試みには、感服しました。
数あるカバーアルバムでも、ここまでオリジナルに属したものは、私は聴いたことがありません。オリジナルの「THE WALL」を聴きまくってて、何か違った感じの「THE WALL」が聴きたいなって方は、聴いてみて損は無いと思います。
逆に、「オリジナルの良さ」を再確認する意味でも、この作品を聴いてみる価値はあると思います。(音と音とのミクロレベルの微細なかけ合わせ方によってしか、新しい「音」は生まれないという事実はやはり本家「ピンク・フロイド」にしか確認できないでしょうし、あのSEと演奏の絶妙の駆け引きは決して他人には真似できないものです・・。)
ちょっと思ったんですが、ヴォーカルに「切迫感」が足りない気がします。
オリジナルは、やはり「壁の内側から搾り出されるような(何とかしてくれ!!)オーラ」を常に感じさせるクオリティですが、この作品は、何か・・要するに「なぞってる感じ」ですね。
それでもこのアルバムには、かなり楽しませてもらってます。
オリジナルと交互に聴くと、常に新たな発見があって、宝探しみたいな感覚で鑑賞することもできておもしろいです。
【日本版】イエス/アコースティック [DVD]
以前から輸入盤では購入可能な作品であったが、今回の日本盤の発売において、シッカリと付加価値が付いている点を評価したい。
本編映像は以前のものと同じ。全体ボリュームが少ない点も変わらないが、いわゆるアンプラグドというには、とてもチャレンジングなアレンジによる新解釈も嬉しい所だ。(ここでの冒険の成果が、イエスとしての「フル・サークル」ツアーでのセットリストに反映されたわけだ)
付加価値部分は、リハ映像だが、母国ではDJやTV番組の司会者としても活躍実績のあるリックの軽妙でユーモアの聴いたナビゲーターぶりは秀逸で、これに日本語字幕が無かったら、ここまで楽しめないものだ。
ア・ライフ・ウィズイン・ア・デイ (直輸入盤・帯・ライナー付き)
2012年リリース。
2008年から始まっていたプロジェクト。
ジャケット内にはChris Squire(vo, b)とSteve Hackett(vo, g, harmonica)とRoger King(kbd, programming)3人の写真が見られる。Amanda Lehmann(g)も参加している、Steveの2人への厚い信頼が感じられる。Jeremy Stacey(dr)はThe Synの2005年Original Syn 1965-2004の時の、Chrisの相棒とのこと。
聴く前には、ダークでヘヴィーで過激で多彩なSteveのギターと、エッジのたったアタックのChrisの疾走感あふれるベースリフがどんな風に絡んでいるのか、Steveのアルバムのようなハードでヘヴィーなブルーズが聴けるのかと想像していた。
タイトル曲の1曲目は2つの個性が激しくぶつかり合ってできたような曲、中間のベースとギターのインタープレイにはしびれてしまう。
全体を通して聴いてみると、それぞれがバランスの取れた佳作といったおももち。
終始激しく、あるいは妖艶にぶつかりあうギターとベースのバトルを期待していた自分には少し拍子抜けであった。
しかし、よく考えてみれば、ChrisもSteveもYesやGenesisといった大きなバンドを支えてきた大黒柱的存在、Squackettはその2人のバンドであるのだから、それぞれのテクニックをひけらかしたりソロの掛け合いなどに終始するようなことはせず、曲やアルバムのバランスを考え素晴らしい仕上がりにするのが当然とも思える。
ライナーノーツによると、今回の作品が2人とも「インストゥルメンタルに重きを置いたバンドではなく、経験を積んだソングライター二人が作り上げた作品」と言っていることにうなづける。
プレイヤーとしてのぶつかり合いではなく、プロデュースとしての激しいぶつかり合いとその調和の取れた融合なのだろう。
それは聴けば聴くほど、この作品がよくできていることに気づくことでわかってくる。
あるいは何度も聴くことで、コーラスやサウンド、フレーズ、曲の構成などどこをみわたしても彼らの音楽に満ち溢れ、丁寧に練り上げられ、何の無理も無駄もないことに気づかされる。
そうなってくると、このアルバムがどんなに優れていて、素晴らしくて、彼らのミュージシャンシップをまったく損なうことなくファンへの期待を裏切っていない作品であるかがわかる。
ChrisもSteveも常にステージに立ち続けてきたミュージシャンである。
このバンドが恒常的になってほしい、そしてステージが見たい、心底そう思える作品である。