歌舞伎町のシャブ女王―覚醒剤に堕ちたアスカの青春
暴力団組長という経歴を持ち、大勢の非行少年少女と向き合ってきた著者にとっても、アスカは衝撃的であった。著者をして「こんな女、見たことがない」と言わしめるほどであった。何しろ13歳からの筋金入りのシャブ(覚せい剤)&セックス中毒者である。自分を裏切ったヤクザの組長を警察に売る一方、刑事をシャブ漬けで破滅させるという荒業を行った。
そのアスカは著者(石原)と出会うことで更生を決意する。しかし、荒んだ生活が身についてしまっているアスカは一筋縄ではいかない。商業的には非行少女の更生物語として感動的にまとめたいところである。著者自身、本書の企画時点ではアスカの更生物語とするつもりであったと書いている。急死された飯島愛さんを目標としてタレントとして売り出す構想まであったという。
ところが、アスカが失踪するなど現実は期待通りに進まなかった。本書ではアスカに裏切られた著者の困惑と落胆を率直に記している。予定調和の展開にならず、話の座りは悪いものの、ありのままに記録した著者を始めとする出版関係者の誠実さは高く評価したい。