〈映画の見方〉がわかる本80年代アメリカ映画カルトムービー篇 ブレードランナーの未来世紀 (映画秘宝コレクション)
ブレードランナーの冒頭で屋台のオヤジがハリソン・フォードに「二つで十分ですよ。わかってくださいよ」というときに、何が二つで十分なのか気になったまま時々「二つで十分ですよ」と口癖に約20年がすぎたわけだが、まさか、マサカ、その疑問に答える本が出てくるとは思わなかった。執筆者の町山 智浩が、映画秘宝の創刊者と知ってナットク。こういうことが気になる人と、気にならない人は、人生のどこで分岐するのだろうか。
といった感じで読み始めたのだが、さらに驚いたのが、この本は、単なる映画のトリビア本ではないということだ。この町山という人は、映画だけではなく、本当に現代アメリカ文化のことを理解していると思う。僕の知っているアメリカ人よりも下手したら理解しているのではないか、と思う。その上、この人は、実際に何人かの監督に直接インタビューしているのだ。デビッド・リンチのインタビューなどは、とんでもなく深い内容だ。ブレードランナーだけでなく、プラトーン、ロボコップ、グレムリン、ターミネイターに興奮した記憶のある30代40代は、絶対読まなければならない本である。
ブレードランナー クロニクル [Blu-ray]
古い映画ながら非常に鮮明で、タイレル社の全景シーンや雨のロサンゼルスは見てしまうともうDVDには戻れません。ダグラス・トランブル万歳です。
「ファイナルカット版」「ディレクターズ・カット版」「ワークプリント版」もいいのですが、私にとっての「ブレードランナー」はオリジナル劇場版で、しかもTBSでテレビ放送された時のデッカード=堀勝之祐さんの吹き替え版が原風景なのです。レオンが雨の中でデッカードに襲いかかるシーンで「思うように生きられない辛さがおまえにわかるか!?」とのレオンの問いに字幕では『全くだ』と答えるのに、吹き替えでは「わかるよ〜」と答えるセンスに、当時中学3年だった私は妙に共感してしまいました。寺田農さんのルトガー・ハウアー、戸田恵子さんのレイチェルも個人的にはよかったと思っています。その後大学生になった頃、TBSの深夜枠で再放送された時に3倍速でビデオ録画して何度も再見しました。社会人になってビデオソフトもLDも手に入れましたが、この吹き替え版が製品になることはなかったと思います。
そしてこの年になって、アルティメット・コレクターズ・エディションに吹き替え版が収録されていると知って買って確かめてみると大当たりで思っていた吹き替え版でした。結構それで満足しきっていたのにDISK3が単品でBlu-rayになっている事を知って、思わず買ってしまいました。
オリジナル版こそ「ブレードランナー」と思う人は少なくないと思います。価格的にも非常に手頃なので必携です。