愛犬物語
▼愛犬家には面白いエッセー「犬と歩けば」と、「犬と暮らせば」、「犬を
えらばば」の3部が収録されたエッセイ集である。
いつもながら作家と言う人は、さすがに文章がうまい。プロである。
▼シニアの文学好きにはおなじみの近藤啓太郎、吉行淳之助、遠藤周作など
の交遊が犬を通して語られ、作者独特のユーモアと皮肉に思わず笑わされる。
▼愛犬家なら思わず頷くことが多く、最後まで一気に読ませる。
洋犬と日本犬との性格の違いや習性など私も雑種の日本犬を飼っているので
愛犬家の端くれとして参考になったのである。
海辺の光景 (新潮文庫)
『僕の昭和史』を先に読み、本作を読んだものなので、あの教育ママで見栄坊だった氏の母堂が
痴呆となり死にゆく光景はとてもリアルな感じがした。
また誰しもがこういう光景に出くわすものだろうなとも思った。
若い読者のための短編小説案内 (文春文庫)
若者の活字離れ、などといわれて久しい昨今、「2時間でわかる日本の名作」などがベストセラーになっているようですが、はっきりいってただの要約で終わっいます。小学生の読書感想文程度のものを読んで逆に日本文学へのアレルギーを起こすくらいなら、僕は本書を若者に薦めます。
この本で村上氏は、いわゆる戦後の「第三の新人」の作品を中心に取り上げています。現代国語で名前だけ、試験のために覚えていた作家が、実はこんなにヤバい作品を書いていたんだ、と深く関心させられました。特に小島信夫の「馬」なんてかなりヤバいですよ。
村上氏はしかし、このようなヤバい作品を読んで、投げられっぱなしにならないよう、懇切丁寧に解説と独自の解釈をして、さらにこの、半分わすれさられようとしている作家たちの作品にふれる糸口を示しています。
この本って、国語のテキストにならないかなぁ~。
サアカスの馬・童謡 (21世紀版少年少女日本文学館)
この本はずっと以前から買おうか、どうしようかと迷っていました。が、買ってよかったと思いました。八人の著者はいづれも
そうそうたるプロの作家達。作品が素晴らしいのは当然といえます。大人向けの本と違うのは綺麗な水彩画が載ってること。
難しい言葉や古い言葉は欄外に絵入りで説明が付いていること。いままでに読んだ作品も載っていますが、まったく違う感覚で
読むことができました。子供たち、そして毎日の生活に少し疲れた大人たちにお勧めです。