幸せな王子
オスカー・ワイルドの一番まともで、一番美しく、一番泣けるお話に一番美しい清川あさみの作品が付いて、大傑作本が出来上がりました!
もうこれは人類の文化遺産として後世に語り継がれて欲しいものです。
ドリアン・グレイの肖像 (新潮文庫)
背徳と芸術至上主義の物語として、あまりにも有名な作品。
肖像画が自分の代わりに悪事の罰を受けて醜く年老いて行き、
最後に主人公がその肖像画と対決するという発想は発表後100年以上を経た今も斬新だ。
「近頃の人間ときたら、ものの値段はなんでも知っているが、
ものの値打ちはなにも知らないときている」等の警句にも作者ワイルドの諧謔精神が光る。
だが、本作がそういった警句や唯美主義だけがとりえの作品だったら
現在も読むに足るだけの魅力を持つことが出来ただろうか?
最後に肖像画と対決した主人公・ドリアンのモノローグ
「『われらの罪を赦し給え』の代わりに、『罪ゆえにわれを打ち給え』という言葉こそ、
もっとも正しき神に対する人間の祈りであるべきだ」─この厳しいモラル。
背徳と芸術至上主義の後ろから、厳しい倫理性がナイフのようにちらついている。
この二重構造があればこそ、本作品は永遠の生命を持つことが出来たのだろう。
美青年ドリアン・グレイの顔と肉体の美しさの代わりに。
銀河鉄道の夜
縦189mm × 横267mm の横長サイズ。右側に本の背中があって、左から右に頁をめくっていく右開きの絵本です。
鉱石のきらめきを思わせる絵の中のビーズ、クリスタルの輝く様が綺麗ですねぇ。ビーズやクリスタルを配した清川あさみの五十の絵と、宮沢賢治の名作が織りなす美しいハーモニー。一枚一枚、絵本の頁をめくっていくうちに、しんとして静かな海の底へと引き込まれ、死の予感が漂う幻想空間を旅していくみたいな、恐いような、寂しいような心持ちに包まれました。
静けさの中にきらめきをたたえた絵の数々を胸のポケットに収めながら、死の影と哀しみ、美しい透明感にあふれた宮沢賢治の名作を読んでいく喜び。贅沢なひとときを堪能させてもらいました。
大好きな『銀河鉄道の夜』にまたひとつ、素敵な絵本が加わって嬉しいなあ。感謝です。
理想の女(ひと) [DVD]
退屈するのではないかと思ったが、ストーリーが展開するにつれて引き込まれる。
ヘレン=ハントが大変魅力的な女を見事に演じている。
男性の目にどう映るかはわからないが、
女性の私から見ると、スカーレット=ヨハンソンが若い分だけ
映画の中で有利かと思ったが、ヘレン=ハントのほうが数倍魅力的だった。
女性に嫌われるが男性に好かれる女性を嫌味なくいやらしくもなく
サラリと演じている。まさに「いい女」だった。
それが映画を説得力あるものに仕立てている。
この映画、悪くないですよ。