プロ野球 球団フロントの戦い
その名の通り、プロ野球の各球団フロントの仕事ぶりに光を当てた一冊。
1章毎に1球団を取り上げる構成になっている。
一部球団のフロントについてはよく語られることがあるが、
中日、日ハム、ロッテ、ホークスなど含め、全体を個別に
取材した本はこれまでなかったのでないだろうか。
いいところは評価しながらも、問題のある部分は厳しく批判する
歯に衣着せぬ物言いが独特で、非常に面白く読めた。
たとえば楽天の項では、地に足のついた経営観で楽天を黒字に
導いた島田オーナーの手腕を賞賛しながらも、
合理的と思えない理由で監督をころころと変えるなど、
いまひとつ信念の一貫しない姿勢を批判する。
「西武はなぜ不祥事が多いのだろう」という文章から始まる
ライオンズ首脳部への批判も辛辣だが、
太田社長、後藤オーナーの功績を浮き上がらせてもいる。
最後の項の、著者が憤っている「野球協約」の変更についても、
はじめて知り、勉強になった。
考えてみると、育成やドラフト、編成など、
プロ野球チームは選手・監督以外の人間の戦略によって大きな影響を受ける。
というか、チームの力はほとんどそこで決まるとすら言えるだろう。
『マネー・ボール』を読んでから、この手の話の日本版でいいものがあれば
読んでみたいと思っていたのだが、叙述スタイルは違えど、
ある意味では、本書がそれにあたると思った。
実際、これまでほとんどふれらなかった部分に光を当てた本書は、
球界関係者にも非常に刺激になるのではないか。
プロ野球好きには絶対オススメ。
〈COLEZO!〉渡辺はま子 ベスト
初めてこのアルバムを聞いたのは、小学生の頃。まだLPレコードだった。冒頭の「支那の夜」でチャイナムードに圧倒され、以後怒涛の中国ワールドに至る。戦前戦中と、渡辺はま子は李香蘭とともに大陸歌謡の歌姫として一世を風靡。戦後「ああモンテンルパの夜は更けて」「美わしのサンディエゴ」など、戦争の重荷と平和友好の歌に新境地を開く。このアルバムでは若い頃とは一味違う円熟の歌声を聞かせてくれると共に、曲目もベスト・オブ・ベストといった感じでお買い得感を得られる。
渡邊恒雄 メディアと権力 (講談社文庫)
“ナベツネ”の存在は昨年の一連のプロ野球騒動でクローズアップされたが、そんなものは“ナベツネ”という人物像の何万分の1にも満たないってことが、この本を読むとわかる。“ナベツネ”なるものがマジで今の政治を、経済を、社会を動かしているのだ。この本がトンデモ本の類であれば上出来のエンターテインメントだし、戦国時代の武将を描いたものならかなり使える処世訓と言える。しかし、この本の舞台が現代の日本であり、内容が超リアルであり、読んでる僕にも密接に関わりのあることだとしたら、これは「暗黒の書」といえるだろう。面白くて一気に読めてしまうのに、その読後感はサイアクである。
ブンヤと言えば昔は社会派、反権力ってイメージであり、実際にこの本の中にも、そうしたブンヤも出てくる。しかし、いまやマスコミこそが権力なのだ。番記者から派閥のドンに取り入り、果ては一国の首相を選ぶまでになる。出世のために子分を作る、同僚を飛ばす、上司を嵌める。私腹や自社の利益のためにキャンペーンを張る、記事を潰す。冒頭にマキャベリの「君主論」が掲げられているが、ナベツネほど忠実に「君主論」を実践した人物は居ないだろう。とは言え、多かれ少なかれ世の権力者は“ナベツネ的”要素を持っているのである。
この本を読むと、ホリエモンがなぜマスコミを手中に収めたがったのか、ナベツネがなぜホリエモン的アプローチを毛嫌いしたのかがわかる気がする。
君のいない空
この二人のコラボレーションは以前にも「ラヴ・レター」という曲がありましたが、この曲も「マル」。区さんのボーカルは本当に「歌」が歌えるそれなので浜田さんが惚れ込むのもわかります。次回はぜひ区麗情による「全曲・浜田省吾カヴァー集」そんなアルバムを期待します!