マダムと泥棒 【スタジオ・カナル・コレクション】 [Blu-ray]
パッケージ形態は異なるものの、ディスクは国内盤と同仕様と思われる、
日本語メニューおよび字幕を収録した、北米Lionsgate社より発売中の
『マダムと泥棒』StudioCanal Collection盤のレビューです。
国内盤の発売前ではありますが、参考になると思うのでここに掲載します。
・本編について
ディスクは片面2層。
映像はMPEG-4 AVCコーデックの1080p HD画質、画面サイズ1.33:1で収録。
オリジナル英語音声と、フランス語・スペイン語・ドイツ語吹替音声を
2.0ch DTS-HD Master Audioで収めています。日本語吹替はなし。
フィルム原版の状態が良くないのか、あるいは元々このようなフィルムだったのかはわかりませんが、
高精細な映像とは言いがたく、少なからずボケも見られます。
しかし特典にも収録されているように、キズなどはかなり修復されています。
画面の解像度そのものが高いのでブルーレイ化の価値は十分にありますし、
少なくとも公開当時に劇場で観られた映像を再現するというレベルには
十分達しているのではないかと思えます。
ジェネオンより発売されていた従来のDVD(廃盤)は
スクイーズ・ビスタサイズでの収録だったようですが、
本ブルーレイは(おそらく撮影時の)スタンダードサイズで収録されています。
そのため画面上下の情報量はブルーレイの方が多いですが、
その反面、ワイドテレビでは左右に黒帯が出ます。
この辺りは好みが分かれる部分だと思います。
本編のクオリティに関しては総じてまあまあといったところでしょうか。
・字幕について
日本語字幕は角ゴシック体で、一部に2人分のセリフが
ダッシュを用いて同時に表示される部分があります。
また、残念だがら誤植も少々見られます。
ユニバーサル=StudioCanalレーベルのソフトにはよくあることなので、
この点は覚悟しておいた方がいいと思います。
翻訳は良好です(翻訳者クレジットなし)。
なお多言語仕様のディスクですが、英語字幕は収録されていません。
・特典について
特典映像は非常に充実しています。
以下の特典の名称は内容をわかりやすくするために、ディスク収録のものとは若干変えています。
「テリー・ギリアム(映画監督)によるイントロダクション」(SD・3分・字幕付き)
…本作のファンだというギリアムが『マダムと泥棒』の魅力を語ります。
「フィリップ・ケンプ(映画研究家)による本編音声解説」(字幕付き)
…映画研究家が舞台裏情報や映画の分析を語る、聞き応えあるトラックです。
「ドキュメンタリー“フォーエバー・イーリング”」(SD・59分・字幕付き)
…本作を生み出した英国の名門イーリング・スタジオの歴史を関係者らが語る、
長編ドキュメンタリー。ナレーターはダニエル・デイ=ルイス。映画ファン必見の内容です。
「アラン・スコット(脚本家・プロデューサー) インタビュー」(SD・10分・字幕付き)
「テレンス・デイヴィース(映画監督) インタビュー」(SD・14分・字幕付き)
「ロナルド・ハーウッド(脚本家) インタビュー」(SD・7分・字幕付き)
…アレクサンダー・マッケンドリック監督と親交のあった映画関係者らへのインタビュー集。
「『マダムと泥棒』の修復」(HD・6分・字幕付き)
…ニューマスターを制作するにあたって、キズの除去や色調修復を行った過程を
テキストと、修復前後の映像の比較で紹介。
「予告編」(HD・字幕なし)
…高画質での収録がうれしいオリジナル劇場予告編。
・総評
画質には正直に言って古さを感じてしまいますが、作品の面白さは古びていませんし、
国内盤のDVDが廃盤でプレミア価格がつきなかなか観ることができなかったこと、
多くの興味深い特典が収録されている事を鑑みれば、
このブルーレイはコレクションする価値ある商品たり得ていると思います。オススメです。
去年マリエンバートで [Blu-ray]
豪華絢爛な館も書き割りみたいな脇役たちもシュールなストーリーも素晴らしいんだが、
いかんせん主役のオッサンが大地康雄みたいでイマイチ感情移入できなかった。
もう少しすっきりした二枚目をもってきてればまた違った印象だったのかもしれないが、
これでは気色悪いストーカーにしか見えない。そこだけが残念だった。
去年マリエンバートで 【スタジオ・カナル・コレクション】 [Blu-ray]
国内盤と同仕様と思われる、日本語字幕を収録した
英Optimum社より発売中のUK StudioCanal Collection盤のレビューです。
国内盤の発売前ですが参考になると思うので掲載します。
・本編について
片面2層ディスク。
本編はMPEG-4 AVCコーデックの1080p HD画質、画面サイズ2.35:1で収録。
コントラスト、グレインともに適度なレベルに仕上がっており、
多少のキズや歪みは見られるものの、かなりの高画質といっていいと思います。
音声も良好です(オリジナルのフランス語およびドイツ語の吹替が
DTS-HD Master Audio 2.0chで収録されています)。
なお、米Criterion社から発売されているUS盤(私は所有していませんが)
はフランス語音声をリニアPCM 1.0chで収録しています。
・字幕について
日本語字幕はユニバーサル=StudioCanalのソフトにしては
かなり良い出来だと思います。
2人分のセリフが同時に表示されることも、漢字が多用されることもありません。
翻訳も良好で、不自然な部分はありません(翻訳者クレジットなし)。
しかしながら、冒頭の(同じフレーズを繰り返す)ナレーションの
繰り返し部分が表示されていなかったり(この部分は英語字幕で確認できます)と、
やや疑問もあります。
私は紀伊国屋書店より発売のDVD盤を観ていませんが、
日本語字幕については細川晋翻訳の字幕を収録したDVD盤の方が
より信頼できるかもしれません。
日本語以外に英語やドイツ語、オランダ語、デンマーク語、ノルウェー語、
フィンランド語、スウェーデン語の字幕を収録する多言語仕様。
・特典について
「ジネット・ヴァンサンドーによるイントロダクション」(SD・19分・日本語字幕付き)
…映画評論家のG.ヴァンサンドーが、本作の歴史的意義や内容の様々な解釈、
公開当時の観客への受け入れられ方を解説する、必見の特典。
US Criterion Collection盤にも同様の特典が新録で収録されているようです。
「短編1:『スティレンの唄』(1958年)」(HD・14分・日本語字幕付き)
「短編2:『世界のすべての記憶』(1956年)」(HD・23分・日本語字幕付き)
…ポリスチレン製品生産の過程と、パリの国立図書館を取材した、
アラン・レネ監督による短編ドキュメンタリー映画を美しいHD画質で収録。いずれも
従来日本ではDVD『アラン・レネ/ジャン=リュック・ゴダール短編集』(紀伊国屋書店)
でしか観ることができなかった貴重な作品です。
監督の美的感覚がうかがえる芸術的な作品に仕上がっています。必見です。
US Criterion Collection盤にも同じ映像が収録されています。
「ドキュメンタリー:『マリエンバートの迷路のなかで』」(SD・34分・日本語字幕付き)
…映画製作に至る過程や作品の解釈を巡る、見応えあるドキュメンタリー。
US Criterion Collection盤には未収録。
「ドキュメンタリー:『アラン・ロブ=グリエ』」(SD・49分・日本語字幕付き)
…本作の脚本を手掛けた作家のアラン・ロブ=グリエを取材したドキュメンタリー。
内容は『マリエンバート』とはあまり関係ないです。
US Criterion Collection盤には未収録。
「予告編」(SD・4分・英語字幕付き/日本語字幕なし)
欲を言えばUS Criterion Collection盤に収録されているメイキング・ドキュメンタリーや
監督インタビューのような映画制作の舞台裏に迫る特典も収録してほしかったところですが、
映画の内容の理解が深まる特典が収録されているのはうれしいものです。
・総評
現在手に入るDVDよりも綺麗な映像と貴重な特典が入っていながら
DVD盤(定価5040円)よりも安価であり、字幕も悪くないので、
日本語で本作を観るなら、このブルーレイは間違いなくオススメできます。
ただ、日本語字幕がなくてもよいならば、アラン・レネ監修の
US Criterion Collection盤の方がベターかもしれません。
去年マリエンバートで HDニューマスター版 [DVD]
待ちに待った再発ですね。馬鹿みたいなプレミアが着いて、そんな業者から買うの止めましょう。 そして旧盤はPALマスターからの変換した4%の早回しなので注意。 詩的、観念的でありながら、映像表現を変えた作品です。勅使河原宏や吉田喜重に影響を与えました。楽しみです。
アメリカではクライテリオンからブルーレイが出ています。英語字幕しかありませんが、映像はこのDVDに比べて、数倍解像度が高く思えました。