西行花伝 (新潮文庫)
創作とはいえ、この本を読んでいる時に私が絶叫していたのは、「こういう男性に出会いたい!」でした。他の方のレビューを台無しにしてしまうかもしれませんが、この本の中の恋は、道なってもみちならなくても美しい。子育てに追われる、枯れてきた身としては、この本の中に描かれる恋に恋をしてしまいました。歴史モノは苦手で、しかもこのぶあつい本を手にした時はどうして血迷ったか?!と思いましたが、しっかり読みきってしまいました。そして今も一番大切な本の中のひとつとしてあります。また、人間関係に疲れている人のココロに響くような言葉もたくさんあり、本当に傑作だと思います。
西行
うーん、西行がこれほどの桜狂いとは、、。桜を愛し愛し抜いた西行。日本人の桜好きは西行の影響だといわれても納得。西行にとって和歌を詠むことは、お経をあげると同じであるという。なるほど、、。
仮の姿、現世(うつしよ)、平安時代の日本人は、諸行無常の理をよく知っていた。本当は空なる森羅万象が、いま目の前に芸術的にあるという事実。仏教ではこれを「真空妙有」という。
西行の和歌に込められた「空になる心」「虚空の如くなる心」は、この「真空妙有」の悟りであったことが、白洲正子氏の筆を通して浮かび上がっていた。とにかく理屈ぬきで、この本を読んでわたしは日本が大好きになった。日本は素晴らしい国だ、、歴史と伝統と現代が重層的に存在する幽玄の国なのだ、、、。