国民の天皇 戦後日本の民主主義と天皇制
皇太子の発言が話題になったが、この本はまさにこのタイミングで
読むのがふさわしいかも。
まず驚くのが、昭和天皇が戦後も政治家に対し発言を続けていた、
という指摘。とかく昭和天皇は、晩年のイメージから平和の人、
として語られるが、実はかなりの腕前の「政治家」だったのではないか、
と感じられる。
そのほか、現在の天皇の歩んだ道、新しい「皇室像」がどのように
つくられたのか、など、興味深い論が読める。
Prometheus: Discipline of Fire & Demise
イーサーン(vo,g,b,key) サモス(g) タリム(dr)
ノルウェー出身、スカンジナヴィア半島に君臨する闇の皇帝。ブラック・メタルの中心的バンドの、ギリシャ神話に登場するプロメテウスの名を冠したアルバム。2001年発表4th。
この時点ですでに、サモスとタリムはEmperorよりさらに攻撃性に特化したZyklonを本格始動させており、イーサーンも彼の妻であるイーリアル嬢と共に、プログレッシブかつアンビエントな特性のプロジェクトPeccatumで数枚の作品をリリースしている。
このそれぞれのバンドを離れた個人活動については、メンバーの「ここ数年のうちに自分たちの個人的な嗜好の違いがどんどん広がってきていて…」という発言がそのまま当てはまるだろう。
だからこそ、個性や嗜好の異なるメンバーが集ったEmperorというバンドは、イーサーンの紡ぎだすドラマ性ととサモスやタリムの攻撃性が絶妙に融合した、他の追随を許さない崇高かつ孤高のバンドであり続けることができた。
そして、本作はそんなEmperor流ブラック・メタルのまさに最高峰。1曲1曲に壮大なドラマがあり、完璧に芸術の域に達している。暴風雨の如き獰猛さ。荒涼たる静寂。地獄の業火の如き苛烈な音像と、その上をなぞる儚げなストリングス。邪悪さと神々しさが交互に襲いくる、荘厳な暗黒オペラ。
本作を最後に、Emperorは解散。10年の歴史に幕を閉じ、メンバーはそれぞれ次のステージへと進み、音楽活動を続けていくことになる。
公爵(ウエリントン)と皇帝(ナポレオン)
ナポレオンファンは日本にも一定数いて、私自身もナポレオンファンであり、ウェリントン公爵に対しては「あんなのに負けたなんて」などという様な感情しか持っていませんでした。
本書は、ウェリントン公爵を持ち上げすぎ、ナポレオンの悪いところばかりを指摘している様な印象もちょっとあります(ただし、それぞれの欠点、長所もある程度書かれています)が、そこは脳内補正をかけて読んでも「なるほど、このことのゆえにウェリントンは勝ち、ナポレオンは負けたのだな……」と得心のいくものになっていると思います。負ける方には負けるだけの理由があり、勝つ方には勝つだけの理由があった。ナポレオンは人間を大事にせず、責任転嫁をする癖があった。ウェリントンは部下を大事にし、自ら責任を引き受けた。
城山氏の意図は、人間が生きていく上での(あるいは組織運営の)参考に、この本が非常になるという事なのでしょう。
私自身はこの本を一度読んだ後、読み返す内にウェリントン公爵に対して非常に興味を持ちましたし、また、ナポレオンがなぜ負けざるを得なかったのかを知りたい人にとっても良いでしょう。