世界遺産 フランス編 パリのセーヌ河岸/モン・サン・ミッシェルとその湾 [Blu-ray]
第352回 (2003年5月25日放送) の「パリのセーヌ河岸」と第400回 (2004年5月23日放送) の「モン・サン・ミシェルとその湾」です。特に、後者は空撮を多用して、神々しいまでに輝くモン・サン・ミシェルの姿をあますことなく、とらえている名作であり、今回、それをもとの品質のまま、ブルーレイ版で楽しめるようになった意義は大きいと思います。黄昏の光を背景にした陰影は圧巻で、世界遺産スタッフの思い入れと底力を感じます。映像作品として、高い価値をもつものだと思います。
高度なAV環境にあるかたには評価を得られていないようですが、ブルーレイ版だからといって、すべて最高画質でなければならない、というわけではないと思います。少なくとも、DVDではとても表現できない画質を楽しむことができますし、限りなく、撮影時のマスターに近い映像を楽しむことができるのですから。ブルーレイとて、映像を収める以上、データに何らかの圧縮を施すしかありません。そして技術は日々、進歩しています。
音楽は本放送時とは差し替えられてしまっていますが、シテ島の描写にケルトの源流を見出してモイヤ・ブレナンの歌声を重ねるなど、センスの高さを感じます。バイアスをかけずに、素直に楽しまれてはいかがでしょうか。
旅する猫たち モン・サン・ミシェル
高野玲子が描く、ちょっと怖いけど、なんかかわいらしい猫たちの旅の絵本。
ストーリーに起承転結はなく、ただ淡々とモン・サン・ミシェルの街を歩く猫たちの話は、どこかシュールなヨーロッパ映画を観ているようで、読む側の空想力をかきたてられる。
わかりやすさが台頭し、創造性・空想力が失われていくなか、本来の絵本の姿(役割)がこの絵本にあるように思える。
子どもだけでなく、大人も楽しめる一冊。