THE KING 序章~アユタヤの若き英雄~/~アユタヤの勝利と栄光~ [DVD]
NHKの大河ドラマと同じで、子役が素晴らしいと物語が俄然盛り上がってくる。幼少時のナレスワン王子を演じるプラッチャナー・サナンワッタナーノンは、裸になるとお腹がぽこっと出ていて「さすがは王子」と妙に感心させられたりはするものの、チャイドル時代の前田愛(現在の中村勘太郎夫人)に似てぱっちりした瞳が可愛らしく、いかにも賢そう。また、王子の片腕となるブンティン(ジラユ・ラオーンマニー)、王子が愛するマネーチャン(スチャダー・チェックリー)ともに子役ながらキャラクターが確立して魅力的。たとえて言うならハリー、ロン、ハーマイオニーのトリオのようなもので、この3人で第1部を見事に引っぱったと言っていい。もちろん、ホンサワディー王や王子の師となる和尚(伊吹吾郎と宇梶剛士を足して2で割った感じ)など王子の生まれ持った宿命を信じて彼を支える人々も厚みのある人物として描かれている。
NHKの大河ドラマでは子役が演じるのは最初の数話に過ぎないが、第1部はホンサワディーで人質として過ごした少年時代がたっぷりと描かれる。和尚のもとで兵法や武術を学び、戦乱の世を見つめながらシャム民族としての誇りを強くしていくナレスワン王子。本当にドラマティックなのはアユタヤに戻ったあとなのだが、少年時代を丁寧に描いているがゆえに第2部がますます面白くなるのだろう。
王国への道―山田長政 (新潮文庫)
密航でアユタヤに渡り、出世を重ねて日本兵部隊を率いて活躍した山田長政。苦労を重ねてローマで神父になったペドロ岐部。彼らが最後どうなったかは、この小説を読んで確認していただきたい。
この魅力的な2人に着目した点では、遠藤氏は優れている。ただ、何度も同じ表現があるなど、書き流した感じ。内容が重い(ペドロ岐部の部分)割に、良くも悪くもあっさり読めてしまう。