正しい水の話―おいしい水、まずい水、危険な水、安全な水 水に関するウソをあばく!
水について徹底的に解説した本。水は生活に密着しすぎて実感が湧かないが、この本は安全な水、危険な水など解き明かし、水についての理解を深める格好の本です。
よくわかる水環境と水質
水環境の基本指標である水質について、専門的な水質指標や法的規制、また水質汚濁源とその改善策などについて図表を用いて丁寧に解説している一冊。各章に演習問題や情報源が整理され、水質の基礎を学ぶ学生や若手実務者に特におすすめの内容。
The Fountainhead
大著なので読破に時間がかかります。英語版にある作者自身の序言は理解の助けになりますが、この日本語訳には含まれていません。またSecond-hander をセコハン人間、Bannerをバナー新聞と注釈なしに訳してますが、原文の意図が伝わるか疑問です。登場人物が本当に何を考えているのかが明らかになるのが最後の章で、彼らの心理分析のなぞ解きのような楽しみがありますが、辛抱が必要です。色々な思想が入っており、そのすべてに共感するのは難しいでしょうが、自分に嘘をつかないことが自分自身を尊敬できることにつながるといった素晴らしい哲学が述べられています。金言は、この物語のヒーローのロークからだけでなく敵役からのトーイーからも発せられています(あらゆる孤独は衆愚の高みにあるp382, 個人的愛はひとりの人間に対して愛情を与えてしまうので、他の人々への愛を結果として奪ってしますp452,理性ならば理性と戦えるが不合理な理不尽なことを敵にまわすと勝ち目はないp486)。資本主義者かつ無神論者の著者ですので、アメリカ人が読むと、共産主義と宗教の利他主義に対する遠回しの批判が興味深いところだと思います。ただ、日本においてみられる集団主義的行動に対する非難もこの本の一つの焦点です。この本では建築家の主人公が理不尽な理由で、建築をまったく知らない一般大衆も一緒になって世論をあげて攻撃されます(“退屈を癒し、自分自身に向き合うことから解放してくれる共通の怒りという贅沢に、みなが一致団結した。自分達というものに向き合わなくてすむことが、いかに有り難い祝福であることか、人々はよくよく承知していた”)。この一件は、チャリテーに参加したことでマスコミの総攻撃をあびた横綱朝青龍関に対する騒動が思い出されます。ここではチャリテーには無縁で相撲など知らない人間が、自らの品格を棚にあげて、医者に変わって仮病の診断を下し横綱を精神障害にまで追い込んでしまいました。