俺はまだ本気出してないだけ 5 (IKKI COMIX)
第1巻を手に取った時、まず笑った。
「ナイス!おっさんコメディー。」…その通りだと思った。
はっきり言って、くだらないと言えばくだらない。
主人公のシズオは、現実離れしたイタすぎる人物だ。
でも、この胸にジンワリくるあたたかさは何なのだろう?
そうして、この作品にはまった。
第4巻が出てからこの第5巻までかなり期間があいた。
が、この作品に通底するテイストは変わってない。
ジンワリとあたたかい…
人が生きるのには、根拠があるべき、甘えず必死に頑張るべきという価値観の人には、
許容できず不快に感じる作品なのかもしれない。
けれど、いつもいつもは意味を持ち甘えず必死には頑張れない、
または自分なりには頑張ってもなかなか成果を出せない報われないという人たちにとっては、
“生きる意味がわからなくても、生きているだけでいとおしい”
というこの作品の持つメッセージは、励ましであり救いだ。
そして、ふっと脱力できる。
どうしようもなくイタイおっさんではあるけれど、
シズオが、父親、娘の鈴子、市野青年、親友の宮田、公園の子供達とつながっているのは、
第1巻から読み通せば、わかる。
シズオの行動は、非常識で、的外れで、不器用で…
ほとんど反面教師といった役回りではあるけれど、
彼が周りの人たちを大切に思っている気持ちは、通じ合っている。
第5巻の作中作「パンを焼く」には、シズオの宮田を想う気持ちが込められていて、泣けた。
※最初、以下の内容で書いたが、上記を書き足した。
↓
「完…?」
裏表紙の鈴子の表情にも、この作品のじんわり来る温かさが滲み出ている…
ヘタウマな画と言うかシンプルな描写に台詞回しの渋さがマッチして、余韻響く。
青野さんが何歳かは知らないけれど…
「40代の作者にだからこそ描ける人と人との繋がりが描かれている」
という作中の言葉を、この漫画自体が証明している。
完結編「鈴子」というサイドストーリーも素敵。
映画のエンドロールと同じく、作品の後のページや黄色い帯の裏側もお見逃しなく…
俺はまだ本気出してないだけ 4 (IKKI COMIX)
今回も、特別編が涙腺直撃。
絵は汚いと言うかシンプルゆえにギャグが活きる。
読みやすくて良い。シズオの一見死んだような目が良い。
親友宮田が今回、内包していたダークサイドを発露。
シズオ以上の不幸キャラ発現。
バクマンより断然こっちを押す。