カザフスタン―草原と資源と豊かな歴史の国
カザフスタンの概要が、文化、地理、歴史、政治、経済の面でよくまとまっています。表現も誰でも判るような平易な表現に終始しており、専門用語で固めたりなど初心者が詰まる箇所もなく、私のようにカザフスタンに初めて興味を持った人には非常に読みやすい本でした。
逆に、カザフスタンをある程度知っている人には退屈な本かもしれません。
ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習 (完全ノーカット版) [DVD]
マイケルムーア的ドキュメンタリーの撮り方を
ドッキリカメラ的に使った映像をストーリー仕立てにしたコメディ映画
一応ストーリーはあるが、まぁオマケみたいなもので
サシャバロンコーエンのカザフスタン人キャラ、ボラットが素人の方々に絡んだ映像を見て
アメリカの懐の深さと病みの深さを味わう映画
役者さんとして出てるのはほんの数人で
あとは取材とか言ってアポとって、無料出演されている方々のようなので
実に安上がり
ロデオスタジオのシーンとか
キリスト教系宗教のシーンとかは普通に撮ったら何千人のエキストラが必要なところ
ほとんど費用ゼロで撮っているんだろうなー
うーんうまい!
どっちも観客の反応が最高に笑えて、これを引き出すサシャバロンコーエンすげーと思った
何回も警察に職質されたり
ガードマンに取り押さえられたりしながら
身体を張って撮影を続ける根性もすげー
特にラストあたりのセクシー女優さんに突如、袋を頭から被せて結婚を迫る想定外体当たりには
「そこまでやるかー!」って爆笑してしまった
ただ、まぁやり過ぎ感は少々あるから
ある程度、懐の深い人でないと笑えないかも
それと、ある程度、世界常識的な知識が頭に入ってないとわかりづらい部分もあるかも
そんなわけで、特に日本では万人にウケる映画ではないので
こういう映画がすきな人だけ見ればいいのではないでしょうか
そういや特典映像として
カットされた取材映像や実際のロデオ祭のニュース映像が入っていてとっても親切設計なところもよかったです
チーズのスーパー店長さんが大人ですばらしい!
ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習 <完全ノーカット版> [DVD]
最高に笑えます。
オランダ在住ですが、2週間映画館が毎日満席でした。
かなり差別用語など厳しい部分もあるので、日本人受けするかは非常に疑問ですが、この映画をみて笑える人は国際人だと思います。
Boratのキャラクターがおいしいです。
個人的には、アメリカンジョークを教えてもらいに行くところとか、車の運転教習あたりが笑えました。
カザフスタン (文庫クセジュ)
カザフスタンの歴史新書。人口1600万あまりと小国ながら、フランスの5倍の国土、内陸ゆえロシア、モンゴル、中国、アフガニスタン、インドなど大国に囲まれ複雑な歴史と文化を持つ。まじめな文体で波乱万丈の物語に抑揚をつけたりせず淡々と描かれるので語り口に面白味はない(とはいえ、北部はロシア経由で西洋文明を享受しつつも南部はイスラム教を始めシャーマニズムの宗教もたくさんあり、まさにシルクロード的な文化の交差点的な文明が今も見られる)。あくまでも自分が日本を脱出してその国で暮らすことを考えた時、気になるのは現在の事情。
カザフスタンと言う国は大陸国ゆえ単一民族国家ではない。いちおうカザフ民族が4割強で一番多いものの、ロシア民族も4割近い。つまり今もって日本のように国家アイデンティティが確立していない。その一方、元素周期表の全ての元素を地下資源として持つ資源大国を武器に今日経済成長著しい。その意味で、21世紀最初の新興国家、中国の次にビジネスの狙い目になることを確認できた。
しかし、内陸国ゆえ寒暖の差が激しく、日本の四季程度で体調を崩すヤワな体力では厳しいかも、と言う面もある。
興味を引くのは、旧ソ連の大気中/地下核実験場だったセミパラチンスクと現在も宇宙飛行機発射台として名高いバイコヌールを抱え、人類の科学の正と負の遺産を両方持つ国であること。時に前者はチェルノブイリに次ぐ被爆体験者の居住する区域であり、日本にとっても重要な知恵を得られるはずだ。一方で日本とのか細い貿易はウラン資源が大半で、非核保有国に対する冒涜的な経済関係にあると言える。あらためてこのことが私のカザフスタンを目指す最大の理由である。
モンゴル [DVD]
英雄譚を馬頭琴の弾き語りで聴いているような感触の作品だった。
調子を変えず、淡々と紡ぎ出される物語。
しかし子ども時代から始まる英雄の物語は「苦難」などと一言で片付けられないほど酷く、やるせない。
隠れる場所もない平原を、自分の足で逃げる少年。
それを馬に乗った追っ手がどこまでもどこまでも追いかけてくる絶望感。
それが何度も繰り返されるうちに、モンゴルの平原に持っていた牧歌的イメージが変わってしまった。
後ろ盾無き、かつての族長の息子の運命。
白川静が孔子について述べたなかに(記憶が確かなら)、偉大な思想は、なに不自由ない生き方からは生まれない、というようなものがあった。
モンゴルを統一したテムジンの場合も、まさにソレであると思う。
出演者はモンゴル出身の方が大半なのか、衣装と風景にビタリとハマっていて素晴らしい。
これは個人的嗜好の問題かもしれないが、でも言わせて!とばかりにあえて書いてしまうと、
残念ながら主演の浅野忠信は私にはどうも日本人に見えてしまって、作品唯一の違和感だった。
演技がうんぬんは抜きにして。佇まいが。
テムジンは、もう少し骨太でいかつく、笑うと人なつこい、みたいなイメージを勝手に作ってしまった。
あの酷い子ども時代をくぐり抜け、モンゴル統一を成し遂げた英雄像に相応しい立派な肉体を期待してしまうのだ。
浅野は線が細すぎる…大陸的ではないように感じる。
妻の産んだ子はみな自分の子としてわだかまりなく迎え入れる包容力、仁義の厚さが観客を驚かせ心を掴む。
浅野テムジンの優しげな微笑みはなんとなく頼りなげである。
敵に略奪され辱めを受けながら、冷静に夫を信じて行動する妻の凄みが圧倒的で、テムジンの影が薄まる。
音楽はあまりしつこくなく、要所要所で挿入されるホーミーのうねるような声が印象的。
スタッフロールでかかるロック(?)アレンジのホーミーとオルティンドーも大陸的でよかった。