バッハ:フルートソナタ全集
今でこそアリアーレシリーズは、バロック好きで知られるフレスコ画家の有元利夫の作品がジャケットとなり、このシリーズのために描かれているような、まさに二人三脚的な関係にありますが、このアルバムがリリースされた当初のジャケットは格調ある文字だけでした。それがセカンドプレスから有元利夫のフレスコ画が採用されるようになって、私の目に止まりました。それまでは、あまり日本人演奏家には興味がなかったのですが、このアルバムを手にして、自分の「聞かず嫌い」の愚かさに気づかされました。まさに日本人演奏家に開眼するきっかけとなりました。
ブリュッヘンから贈られたという銘器を奏で、今では共にレコーディングをしなくなったチェリストの鈴木秀美と有田千代子の通奏低音が固めています。各楽器の音色が見事に調和して、バッハの楽曲が更に美しく響いています。「バロックはやっぱり古楽器じゃなきゃ!」などと思ったものです。有田氏は、このあと1999年、2008年(モダン楽器!)で再レコーディングしていますが、20年以上経った今もマスターピースとしての感動は薄れていません。バルトルド・クイケンのアルバムや、古くはブリュッヘンのアルバムとともに、いつまでも色あせることのない名演、優秀録音です。
バッハ フルート・ソナタ全集
バッハ:フルート・ソナタ全集
バッハ : フルートのための作品全集
バッハ:フルートソナタ集(モダン・フルートによる)
バッハ:フルートソナタ集(モダン・フルートによる)
トラヴェルソは吹けないけれどもバッハは吹きたい、
そういうフルート吹きは世の中に多いはずだが
そんな全ての人々にとってこのCDは多くの示唆に富むものだ。
たとえ学術的な予備知識は無くても、
この演奏の美しさは万人の認めるところだと思う。