日本橋 [DVD]
淡島千景、山本富士子扮する芸者2人のそれぞれに想いをよせる男2人の入り乱れた人間模様。品川隆二が二枚目をやってる。淡島千景と山本富士子の着物姿、しぐさに至るまで、えも言われぬ美しさ、現代の女性ではとてもああはいかないだろう。芸者のつらい境遇もだが、この作品では男の業というのも描いてあって興味深い。捨てられてもお孝(おこう)追い求める粗野な熊、姉の面影を慕って清葉を求めつつ、お孝と懇ろになり、結局お孝を不幸にするインテリ葛山。若尾文子もでているし、大変見応えのある映画。
外科室・海城発電 他5篇 (岩波文庫)
最初にこの作品の存在を知ったのは実は映画の宣伝でした。
それまでは「泉鏡花」という作家の作品を読もうと思ったことも無かったのです。
映画のキャッチコピーが頭にずっと残っていて、気になってしょうがなかったのです。それは「ねむり薬は、うわごとを言うと申すから、私はそれがこわくってなりません」だったと思います。
この作品は、辻褄だとか現実感だとかそんなものは一切考慮せずに、その場の(外科室内の)情景の美しさを堪能していただきたいのです。
わたしはなんといってもこの「外科室」が好きですが、「夜行巡査」「琵琶伝」「海城発電」も心に響きました。
男女の愛は美しいものですが、偲ぶ愛はさらに美しく、ついには破滅へと導くような愛はさらにさらに美しい。成就しないからこその美なのです。
映画は、後からビデオで見ました。私はたいへん良かったと思います。余計なシーンもありましたが、ほぼ原作に忠実に作ってありました。
ただ、難をいうなら貴船伯爵夫人はミスキャストだったように思います。高峰外科部長は非常によかったですけれども。
リクツに合わない話は我慢ならない、という方にはこの本をおすすめしません。
ただ、美を堪能したい方はぜひ読んでみてください。
高野聖 (集英社文庫)
独特の文体に、慣れるまでは多少かかるかも解りません。
しかし、話の細かい内容が解らないまま、気にせず読み進めていっても十分 幻想世界に浸ることができます。
言葉の解説も、話の解説も、ちゃんとついているので、二回目三回目で利用しながら読むのがお勧めです。
私としては高野聖よりも、眉かくしの霊、星あかり のがちょっと怪談ぽくて好きですな。
とろりとした夢を視たい方にはぜひ!!