The Ragamuffin Gospel (Playaway Adult Nonfiction)
神の愛と恵みに関して語らしたら、ブレナン・マニングは、恐らく今世紀最高の人物の一人だろう。スタンフォード(だとおもったが)大学で神学を教えたほどの教養の高さと、アルコール依存症にまで落ちぶれた所から神の無条件の恵みによって立ち上がった自らの神との深い交わりが彼のメッセージを類まれなものにしている。
本書はマニングの代表作といえる作品である。1990年の出版以来、本書を読んで神の恵みの「広さ、長さ、高さ、深さがどれほどであるかを理解する力を持つように」なった多くの人々によってさまざまな事業を生み出されてきた。そのテーマは八つの曲を生み出し、故リッチ・マリンズはラガマフィン・バンドを結成し、マイケル・W・スミスは作曲し、「ラガマフィンの祈り」が出版され、四つの絵画が描かれ、三つの本屋ができ、ラガマフィンの名をつけたいくつかの詩が作られた。カトリック信者だけでなく、マックス・ルケード、フィリップ・ヤンシー、ユージーン・ピーターソンといった思慮深い福音派の人々から絶大な支持を得ている。
本書はクリスチャンであっても信仰生活に苦しみを覚えている人々、クリスチャンではないが、聖書が教える神はいったいどんな方なのかを知りたいと願っている人々にとって最高の手引書である。私は数多くのキリスト教や聖書関連の本を読んできたが、その中のトップテンを揚げよといわれたら、間違いなくこの本はその上位を占めるだろう。
とんでもないおきゃくさま―グリム童話
いたずら好きな「おんどり」と「めんどり」のお話。おんどりとめんどりは、アヒルのくるみを全部食べておきながら、自分たちの車をアヒルにひかせて、途中で同乗することになった「まちばり」と「ぬいばり」たちとともに、一軒の宿屋に泊まることになった。そこで、おんどりとめんどりが泊めてもらったお礼にしたこととは?ほんとに、とんでもない、お客様です。こんな、いたずらをしておきながら、ばちがあたる場面がでてこないのが教育的にどうかなとは思いますが、楽しい話です。なぜ、「ぬいばり」と「まちばり」っていうのが出てくるのかは、読めば分かります。
バーナデットさんが挿絵をしているグリム童話の中では、短いお話で、小さなお子さんでも楽しめます。ほとんど平仮名で、漢字も小学1年生で習うものに読み仮名がついています。
バーナデットさんの絵は色鉛筆で描いたような優しいタッチで、丘の風景、夜の風景、宿の中の様子がとても素敵に描かれています。登場人物は少ないのですが、挿絵には本文中には出てこないハリネズミやウサギや小鳥やリスなどの小動物が細かく描かれていているし、宿の中の家具や雑貨など、絵をじっと見ていても飽きません。
Ragamuffin's Fool
72年発表の3rd。前作に引き続きマイケル・ジャイルズ(dr)、そしてレース・マククレオド(dr) をサポートに迎えて製作された作品。再びナイス時代の7.を取り上げたのも話題だが、前作では見られなかったブライアン・チャットンと他のメンバーとの共作曲が先の曲を除いては9曲中8曲までに登場しており、更にバンド色が強まっている。
1.はピアノ+リズム隊をベースにしたオールド・タイミーなポップ・チューンで、ほぼスタックリッジのスタイルを踏襲したかのような佳曲。親しみやすい歌メロに華麗なフレーズを決める間奏のピアノ(バックにはメロトロン!)など聞きどころ多数だが、何げにベースのフレーズが耳に残るなど各メンバーの個性が上手く融合されている。この曲は間違いなくグループとしては代表曲の一つだろう。2.もピアノ+メロトロンを中心としたバラード・タイプの曲で、メロディにはトラッド〜プログレ的な臭いが強い印象。ヴォーカルのスタイルもあってかバークレイ・ジェイムス・ハーヴェストに近い雰囲気もあり。3.はアコギ+エレピによるプログレ/フォーク曲。泣きのメロディのAメロから長閑で愉快なBメロへの絶妙な展開が素晴らしく、曲を非常に豊かなものにしている。4.は美しいピアノのアルペジオとヴォーカル・ハーモニーを駆使した佳曲で、前作までの彼らからは想像も付かない佳曲。
前作までの彼らとはまた曲/演奏共に更にスケール・アップしている。アルバムを発表するごとにここまで飛躍するグループも稀だが、とにかく本作は素晴らしい。楽曲はスタックリッジあたりに通じる田園ポップにプログレ的なエッセンスを絶妙なバランスで投入した感じで、演奏面では特にピアノが聞き物。そのピアノは大半の楽曲で使用されているが、結局のところ作曲者がブライアンを中心にしたものに変化したことが大きいのだろう。彼らの音楽にどういうイメージを持っていようとも英国ポップ/ロック好きなら本作だけは絶対に押さえるべき。それくらいの名盤。
マーシーの夏 (集英社文庫)
高校を卒業したばかりのマーシー。17歳の夏をずっと憧れていた彼女。
夏の初め彼女は憧れ続けていた夏は、つまらないものになるだろうと思っていたが、彼女の母の経営する下宿屋の住人とともに、人形劇を始めることで変化し始めます。
人形劇と聞くと子供向けのようですが、この人形劇は大人も楽しめるものを目指し、住人それぞれの特技を生かし芸術性の高いものを作り上げていきます。
それまで、自分の殻に閉じこもりがちだった彼らは、目的意識を持ち、互いに関っていくことで、尊重し合い、自分には何が出来て、いかに役に立てるかを模索していきます。
このことを通して、彼女たちは、自分の個性を認め、新しい人生を歩むことになりました。
自分に出来ることをする。それを認めてもらう。この喜びに、共感しました。
単純だけど、この喜びが人間を良くするような気がします。