ブレイズメス1990 (講談社文庫)
著者の作品は、きまって天才的な外科医が登場する。
本書ではモンテカルロのエトワールという異名をとる天城であり、前作「ブラックペアン1988」では渡海だった。
別シリーズではジェネラル速水やバチスタ桐生だったりする。
そして、他の作品のキャラがチラ見せで登場するのもまた、楽しみのひとつである。
さて、本シリーズは「バチスタ」シリーズの20年前の話であり、高階がまだ講師の時代だが、舞台は同じ東城大病院である。
そしてなにより決定的なことは、どうも著者は本シリーズをミステリにはしないつもりのようだ。
前作、そして本作と、ミステリとしての要素は皆無である。
もっとも、これは著者の細菌の作品に共通することであり、はなからミステリ性を放棄した「ひかりの剣」や「医学のたまご」だけではなく、「モルフェウスの領域」も極北シリーズも、ミステリ性はほとんどない。
田口・白鳥シリーズだけはかろうじてミステリ性を残しているが、どうも著者はミステり性をなくすことで、作品の医療に対するメッセージ性を強めたい思いがあるようだ。
ブルーバックすで著者が「死因不明社会」を刊行してからの作品では、特にミステリ性がそぎ落とされている。
本書もまた、ミステリ性はかけらも見られない。
本シリーズが世良の医師としての成長物語なのであれば、さらに他の作品世界との相同性から、本書の位置づけはどう考えたら良いのだろう。
著者が本作で訴えたいことは、実に良くわかる。
しかし、本作の続編では、あれに関する挫折が描かれるはずなのだ。
すると、本作で天城が述べた理念と理想はいったいどうなってしまうのか。
まさか単純に否定されるだけではあるまい・・・・と妙な期待と不安を抱いてしまうのもしかたのないことではある。
そして彼、「モルフェウス」にもチラ見せがあった彼は、本作にはまったく登場しない。
彼ははたして、続編では登場するのか。
いずれにしても本シリーズは、本作で終わるわけにはいかないから、いつかまた世良、天城、そして彼と再会できることを期待したい。
ジェネラル・ルージュの凱旋 [DVD]
原作以上によいできなのではないだろうか。
原作にはない殺人事件が、より物語や背景の輪郭をくっきりと際立たせていて、ここ数年では個人的にベストです。
堺雅人の存在感と演技。このストーリーに見事にはまっていて、感動しました。
ぢつはレンタルして見て、あんまりよかったものだから、Amazonでお買い上げ。
ずっと持っていたい、そう思わせるだけの作品でした。
ジーン・ワルツ [DVD]
小説とは別でミステリ的な要素はほぼ皆無です。また、ドロドロして凄絶な感じもありません。出産をとりまく人間ドラマになっていました。
つらい過去を乗り越え、鉄壁の意思で医療に取り組む天才医師に菅野美穂が見えないのがイタイ。彼女は、ふわふわした浮遊感が独特の魅力で、本作のヒロインはチャレンジだと思いますが成功しているとは言えませんね。
やはり、原作の緊張感が欲しかったですね。医療ドラマなのかラブストーリーなのかもはっきりせず、やや軽い印象。
ヒロインを全面的には応援できないはずの清川の態度が、コロリと変わる展開も、都合が良すぎる。
無脳症で子宮内でしか生きられない赤ん坊を「光をみせてやりたい」との思いで出産するエピソードは人間描写も丁寧で、とっても良かった。
Horizon
しかし、人柄といい、容姿といい、CDアルバム1枚で消えてしまうには、惜しいお嬢さんでした。今は、実家の手伝いをしているそうです。一つ違いのお兄さんと、声が全く違い、魅力的な声質。TVからは消えたけれども、いつまでも、僕らの記憶の中に残っていてくれる、そういった意味で、忘れられないアーティストです。TVで言っておられましたが、「私はBOY FRIENDと付き合うと長いんですけれど、兄はすぐ彼女、かえちゃうんですよ」との事。さすが、早稲田に住む生粋の都会っ子、愛ちゃんの発言です。