完全・犯罪 (創元推理文庫)
そもそもデビュー作「玩具修理者」の克明且つユーモラスな肉体崩壊描写からして筒井康隆の超傑作短篇集『宇宙衛星博覧会』に負う所が大きかったが、本作品集に於いても著者のツツイストぶりは随所に窺われた。
「完全・殺人」=タイムトラベルを繰り返す度に自分自身が増え続けドタバタ化してしまうのは『チューリップ・チューリップ』が元ネタ。
「隠れ鬼」=設定は『かくれんぼをした夜』、追われる者の不条理な恐怖は『走る取的』、犯した過去の罪に自ら惹かれ固執して行く様は『鍵』を連想させる。
「ドッキリチューブ」=過激にエスカレートする最悪の状況を一人称で淡々と語りながら死の諦念に至る迫真の狂気は『おれは裸だ』に通ず。
こうなったら次は『ロートレック荘事件』に比肩し得る傑作ミステリーを期待したい。著者はそれが出来る才能の持ち主だ。
大きな森の小さな密室 (創元推理文庫)
2008年に出た単行本『モザイク事件帳』の怪談・文庫化。7本を収めた短編集。
創元推理文庫では著者の一冊目の本となるが、本書に登場する探偵たちは『密室・殺人』や『目を擦る女』など以前の著作に出てきた者たちばかり。前作の後日談的な色合いが強く、それらを予め読んでいないと充分に楽しめないだろう。
探偵たちのコミカルさが魅力。強引すぎる解決、わがままで個性的な言動にニヤリとさせられた。
トリックはたいしたことがない。
ストーリーのひねり方に特徴があり、めちゃめちゃなロジック展開が楽しい。
玩具修理者 [DVD]
角川ホラー文庫
賞を取った作品は映像化。
だから映像化されたのだと、頭に置いておくと良いでしょう…
そもそも、
小林泰三先生の小説、
しかも玩具修理者を映像化は、かなり無理がある……
にしても、あまりに残念な出来でした…
三輪さんのお声に星3つ。
惨劇アルバム (光文社文庫)
おもろかった。
本屋で、たまたま目にした表紙にひかれ、
買うつもりでちょっと立ち読み始めたら、
気がついたら読み終わってました。ひゃはは。
なんなんだ?という導入部。
幸せをかみしめるつもりで何気なく開いたアルバム、
そこにいる幼なじみの顔を見ながら記憶を辿ると、
なぜか自分が死んでゆく、生々しい記憶が。
いやいや自分はここにいるのに、この記憶は何?
母親が自分の記憶の改ざんをしているのではという疑惑にとらわれる。
そうしてまた次の章では。。
とにかく読みやすい。
しかもきちんと1つ1つオチがあり、かつ全部を読み終わると、
最後におおっと大きなオチが。
立ち読みにしては十分、満足した。
買っても良かったな。なんてね。