The Bob Dylan Scrapbook, 1956-1966
驚くべき精巧な作りによる見事な本である。装丁の美しさ、丁寧な作り、ユニークなコンセプトによる体裁、しかもこの低価格。おそらく類書はないだろう。作成は手作りなのではないかと思われる。
Dylanの場合、単なる人気歌手の関連本的なものより、ハードな研究書的なものや伝記の類が多いが、本書もそのような部類に属する内容でありながら、実にわくわくするようなあたかも宝箱のような作り方になっている。本書に記載されているメモによれば、本書は近日放映およびDVDがリリースされるマーチンスコセッシの「Bob Dylan: No Direction Home」の関連書籍として製作されたものである。したがって1966年までのDylanに関する資料が満載された内容となっており、それもタイトルが示す通りただの本ではなく、、インタビューのCDやスクラップブック風にレコードデビュー前のコンサートのチラシやチケット、新聞の切り抜き、宣伝用のグッズ、写真、なにより驚嘆するのは「Blowin’ in the wind」などいくつかのDylanの歌がはじめて生まれた時のメモ書きなどが、そのときの便箋やメモ用紙をそっくり再現してスクラップされている。それもなんとタバコの焼け跡や、色落ち、折り目までが!!。
当然Dylanに興味の無いものには全く意味が無い書物ともいえる。しかし、レプリカとはいえ、それらを手にとってをながめていると、私の中に刷り込まれているDylanの歌が生まれた「瞬間」を感じられるようなリアルさを体験できるほどである。なおかつ実に美しい装丁であり、Dylanが辿った足跡を「実物(のレプリカ)」を手にとりながら味わえる幸福感さえ感じられる。この感覚は、以前発売された見事なCD-ROMや他のメディアでは味わえないダイレクトな実感を伴う。
この本は感服するほどの労力と愛情と丁寧さをもって作成された「傑作」である。
ザ・ベスト・オブ・ボブ・ディラン
とかくボブディランといえば、その哲学的な歌詞で多くのファンがいるが、僕個人としてはむしろ朴訥としたメロディーが聴いていて心に残る。独特の声で語りかけるように歌うディランの言葉は、時には恋に疲れ、時には孤独感に耐えられない時、また、目標を見失って途方にくれた時、その時々に形を変えてメロディーと一緒に耳に直に飛び込んでくる。目の前に立ちはだかる障害の向こう側を、いつも照らしてくれるのはディランの歌なんだ。ディランのメロディーには歌詞以上に、普遍性がある。最初は歌詞カードを見ずに聴いてもらいたい。きっと、何か感じるものがあるはずだ。
MTVアンプラグド [VHS]
http://v.youku.com/v_show/id_XMTQxODc1OTMy.html
↓16-Nov-94リハーサル映像.flv(再生されない場合は、白枠をクリックして下さい。そのまま保存いただけます。)
http://www.dylanvideo.com/apps/videos/videos/show/9838317-mtv-unplugged-rehearsals-17-11-1994-pt-1
http://www.dylanvideo.com/apps/videos/videos/show/8532928-mtv-unplugged-rehearsal-17-11-94-pt-2
セッション・データ⇒ http://www.bjorner.com/DSN15755%20-%201994%20MTV%20Unplugged%20Sessions.htm#DSN15755
Bobは1995年以降 完全にハーモニカ・ホルダーを辞めてしまいました。
したがって、1994年の千秋楽である このショウでのHeaven's Doorが(〃ΘДΘノ)本当に最後のホルダー使用となってしまいました。
ニューポート・フォーク・フェスティバル 1963~1965 [DVD]
サイ&バーバラ・リバコフが書いたディラン・ストーリーを高校時代に読んだ時、ニューポートの伝説のイメージが私の頭の中に生まれた。そして、その文章は長い間ディランのニューポート伝説の主な語り部としてそこに存続し続けていた。
ディランはバターフィールド・ブルース・バンドを引き連れステージに登場数曲のロックを演奏、しかし無理解な聴衆はブーイングをし、彼はステージから降りていく。やがてピーター・ヤーローに説得されて彼は「すべてはおしまい」をアコースティック・ギターを持って歌いだすが、その目には涙が光っていたそうである。
この話から、私はディランが自分の新しい音楽がニューポートの聴衆に拒絶された事に失望し打ちひしがれた様になって再びステージに上がったものと理解していた。しかし、このドキュメントから読み取れる彼の表情はザ・バンドとのイギリス公演での反応と近く、かなり落ち着いた表情をしており、むしろふてぶてしさも見て取れる。ようするに、彼は冷めた気持ちでニューポートに決別の歌を歌ったと言う方が正しい状況判断のように思えた。彼はあの時点で十分なプロフェッショナル・シンガーであったと言う事なのだろう。
こんな事が見て取れる事自体が当時からすれば驚きに値する事であるし、そんなフィルムが今まで眠っていた事にも口惜しい気持ちがする。
最近ではアルバートホールでの「ジュダ!」事件もフィルムが公表された。こうして昔からのディランの伝説が一つずつ不確かな包みを解いていく時代になったようだ。あれからもう40年以上が過ぎたにも拘らず、60年代の伝説はまだまだ我々に興味と驚きを提供し続けている。それだけ素晴らしい時代だったのだろう。
本作は幾つかの既発表場面を含んでいるにも拘らず、意外と明るく軽いのりも見せてくれるディランが映っていたりして、ファンにとっては必ず手にしていたいアイテムになるはずである。
ドント・ルック・バック [VHS]
1960年代半ばのディランのイギリスツアーの様子を収めたものである。当時、フォークのプリンスと呼ばれ、いつも同じようなインタビューを受けることにうんざりした彼の苛立ちがにじみ出ている。当時付き合っていたジョーン・バエズとの別れをもにおわせている。内容はコンサートの場面とインタビュー、ホテルや楽屋での様子が撮られている。コンサート場面で途中から始まったり、尻切れになっている所が残念な点である。しかしながら、初期のディランの曲(アルバム未収録の曲も)が多く収録され貴重な映像であることは間違いない。