永遠の仔 Vol.1 [VHS]
恐ろしく灰色だ。
音楽は坂本龍一だが、音色も冷え冷えしている。
ドラマ全体に笑みというのは一切ない。
中谷美紀、石田ゆり子はきれいなのに明るさというのは取り払われている。
ストーリーのテンポ、演出も何だか昼ドラを見ているような流れだ。
だが、これほどまでの色調をTBSやフジのドラマではできないだろう。どこかにからっとした部分、希望を作ってしまう。日テレだから出せる味だ。
このトーンに最後まで惹きこまれてしまうのだ。
永遠の仔〈2〉秘密 (幻冬舎文庫)
文庫版2巻では登場人物達の苦悩が描かれている。出会ってしまった3人。探りを入れた聡志。今の状況を本当に求めていたかどうかを悩む笙一郎。刑事としてはあるまじき事をしてしまった梁平。全ては、過去の秘密。
過去に犯した罪は消えない。それを探られても勿論困る。そこには確かな3人の少年少女の秘密があった。それを再び呼び起こすのも困る。誰もが今の現状に耐えなければならない中、更に深く探る聡志。思いは複雑になってくる。
読んでいると少女期の優希を書いた作家は明らかに前作「家族狩り」を意識したようなさめた感じの印象を受ける。その時の亜衣に似た感じだが、ややそれとは違った感じも受ける。ただなんとなく現在に起きた事件での聡志のセリフにもあったように本作が訴えるものは近い気はする。決して内容は違うけれど。
歯車が狂ってきた感じがまじまじと見える。それを印象付けるのには十分すぎるのが2巻のラストシーンか。過去の3人の交流は、至って温かみが感じられる。要するに思いはここから変わっていないのかも知れないが。
何かが始まりそうで終わった2巻。秘密がばれるのはいつのころか。
LOST CHILD
さみしいだけの曲である。
その1つの曲を、わずかに楽器の編成を変えつつ、3度繰り返してみる。
するとどうだろう・・・・・・やはり、さみしいだけなのだ。
次第に、聴くにつれて疲労してくる。
この倦怠感に満ちた1つの曲のために、この定価設定で売るのはどんなものか?むしろそちらに疑問が湧く。
しかし、このCD自体は、けっして悪くは無い。憂鬱に抱きすくまれて、さみしく薄暗い気分のなかへ、落ち込みたいだけ落ち込めるだろう、浸りたいだけ浸れるに違いない。なりたければ、の話である。
永遠の仔 オリジナル・サウンドトラック
半野喜弘さんが手掛けたTVドラマのサウンドトラック。現代音楽、クラシック、ジャズにエレクトロニクスを織り交ぜた幻想的で荒涼とした世界に聴いていて思わず引き込まれてしまいます。HDCD仕様で音質も素晴らしい。とにかく美しいの一語に尽きます。
永遠の仔〈1〉再会 (幻冬舎文庫)
読みごたえのある作品でした。
単行本で二段組、上下2巻。
しかし、その厚さを感じさせないような作品でした。
ただ気になったのは、
彼らの疎外感や被害意識を際立たせるために
意図的に描いているのだとは思うのですが
(あるいは彼らの目を通して描いているためか)、
医療関係者や学校関係者の3人への対応、言葉などが
あまりにも無神経で、あまりにも何の知識もないように
描かれていることです。
90年代という時代のせいなのかとも思いましたが、
この点に違和感を感じました。